組織培養
一よい苗を作る心がけ―
1月21日掲載
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培養風景
 植物体の一部分を取り出して、試験管の中で、無菌的に培養する技術があって、これを組織培養と呼んでいる。特に、茎の先端にある生長点付近の細胞を培養する場合は茎頂培養という。この技術を使って、無菌的な植物を育成したり、試験管内で大量に増殖したりすることが、花や野菜の栽培で、実用化されている。バイオテクノロジーが最も実用化されている分野の一つである。

 洋ランはほとんど組織培養で増殖された苗から作られている。これを、特に、メルクロン苗と呼んでいる。なぜこのような苗を使うのだろうか。洋ランは株分けで繁殖するときわめて増殖効率が悪い。また、種子は胚乳が無いので、普通にまいたのではほとんど発芽しない。それで、無菌培養を行って発芽させるのだが、親と同じものが出るとは限らない難点がある。しかし、組織培養は同じものをフラスコや試験管内で大量に増殖できるのである。

 カーネーションの苗も組織培養されている。これは、洋ランの場合と違って、無病の苗を作ることが目的である。カーネーションはウイルス病や萎凋病など苗から伝染する病気が多い。ところで、植物の茎の先端部の生長点付近は、細胞の分裂が盛んで、無菌的なのである。これを顕微鏡下で取り出して、殺菌された試験管内で培養する。これを育てて、大きくなってから普通方法で挿し木して増殖する。同じように、キクイチゴなど、挿し木や株分けで繁殖する多くの植物は、これと同じ方法で病気に侵されていない無病の、健康な苗を作っている。

 家庭園芸では、組織培養まで行うのは無理かも知しれない。しかし種苗業者や花を生産する農家は、このようなバイオテクノロジーを使った最高の技術を使ってまで、良苗生産を心がけ、品質のよい、そして安価なものを作るように努めている。花つくりは苗作りこそ基本である。組織培養まではしなくとも、健全な親株から挿し穂を採り、苗床の管理をていねいにして、よい苗をるよう心がけたいものだ。