エチレン
―花芽分化にも応用―
12月10日号掲載
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カーネーション
スプレー咲きカーネーション
グズマニア
 エチレンもまたジベレリンと同じように、植物ホルモンの一つである。これは成熟あるいは老化をつかさどるホルモンであり、果実の成熟を促進したりする。バナナは未熟な状態で輸入してから熟成しているが、この時にエチレンを処理し、その成熟作用を利用している。またリンゴなど多くの果実は、成熟すればエチレンを多量に発散する。
 
 一方で、カーネーションの花などは、エチレンがあると、花が十分に開かないままにしぼんでしまう。あたかも眠ってしまうようでもあるので、「ねむり現象」といわれている。かって、この原因が分からなかったころ、リンゴと混載されて出荷されたカーネーションにはこの現象が多く発生した。リンゴから出るエチレンのいたずらである。家庭でも、果物は花の近くに置かないように注意したい。タバコの煙や石油ストーブの燃焼ガスも同様に花の日持ちを悪くする。

 植物を毎日、何回か、さわったり、ゆり動かしたりすると、草丈の伸びが少なくなる。ユリではこの方法で、草丈を短くすることができ、生長抑制剤なしで鉢花にできるほどである。これも、動かされる刺激によって、植物体内でエチレンが発生することに原因がある。

 一方、アナナス類といわれているパイナップル科の植物は、この科の植物の特異な反応として、エチレンによって、花芽分化が促進される。エチレンを植物体内で発生させる薬として、エスレルという生長調節剤が市販されているが、エスレルを葉面散布すると、アナナスはいつでも花芽を分化することができる。もっと簡単には、アナナスは基部が筒になっているので、そこに水を十分にいれて、カーバイトの小豆粒ほどの小片を入れるのである。水とカーバイトは反応してアセチレンガス発生するが、これがエチレンと同じような作用をして、花芽が分化し、開花するのである。