花芽分化
―時期知らないと大失敗―
2月26日号掲載
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キクの小花が形成されている状態
 植物の茎の先端にある生長点では、新しい葉をどんどん作り出している。ところがある時期に、葉を作らなくなって、顕微鏡でなければ見えないような小さな花芽ができる。これを「花芽分化」といっている。そして、この花芽は次第に発達して、やがて花となる。

 花芽分化は植物が生殖の段階には入ったことを意味するのであるから、植物の一生にとっては大きな転換期であるといえる。

 花芽分化は、植物がある程度の齢に達してから始まるが、直接的には温度や日長時間(昼の長さ)などの環境条件によって誘起される。だから、多くの植物では花芽分化の時期がおよそ決まっている。たとえば、秋キクは昼の時間が短くなると花芽分化するので、8月下旬から9月上旬ごろとなる。庭園樹ではツツジ類、ツバキ、ジンチョウゲ、キンモクセイなど多くのものが7、8月に花芽分化するが、アジサイ、ユキヤナギ、コデマリのように10月ごろのものもある。

 多くの植物の花芽分化の条件や時期を覚えるのは容易なことではないが、せめて身近な植物くらいは知っていたい。これは植物を上手に管理するのに欠かせない。この知識がないための失敗例を紹介しよう。ツツジやアジサイを夏や秋に刈り込むと翌年花は咲かない。これなどはせっかくできた花芽を刈り取ったか、あるいは刈り込んだ後にまだ十分な新芽が出ないうちに花芽分化の時期が来て、花芽ができなかったか、いずれかである。花木類のほとんどは花が終わった直後にはさみを入れるのがよく、遅れると花芽ができない。

 庭園灯の近くで作ったキクや居間のポインセチアの花が咲かないのは、昼の時間が短くなってきた秋の季節を感じることができないからである。