花と季節
―家庭でも科学の目を―
1月15日掲載
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年が明けて、どこの家にも正月の花が床の間や玄関に美しく飾られていることだろう。正月の花といえばマツやウメ、ハボタン、センリョウ、ナンテンなどに代表される。しかし、現在では、正月の花はと聞くと、多くの人はバラキクテッポウユリなどと答える。これらの花は決して正月には咲かない。実はウメもしかりだ。ところが、農業技術の進歩は、ほとんどの花を冬にも咲かせることを可能にしたし、花に対する季節感をほとんどなくしてしまった。

 花には季節感があった方がよいとの意見も根強い。確かにうなずける意見ではある。しかし、一方で季節はずれに花を咲かせたい欲望があり、これは大げさにいえば人類の長年の夢でもあったのだ。野菜や果物でも同じことである。江戸時代の昔からナスの促成が行われていたという。

 「季節はずれ」に対する挑戦はまず品種改良から試みられた。最近では植物生理の研究も進み、電照キクで代表されるように、もっぱら環境を調節することで、開花期を調節するまでに発展した。そして、季節はずれの花や野菜がかってのように、ほんの一部の富裕者のものであった状態から解放され、一般庶民にもその夢がかなえられるようになった。
ところが、花の生産技術のめざましい進歩に比べて家庭園芸の管理は非科学的な習慣にとらわれている面が多いように思えてならない。そこで家庭園芸に科学の目を向ける、そんな連載をしてみたい。