紅葉
―多彩なカエデの仲間―
11月26日号掲載
index 「小さな害虫」へ 「秋の種まき」へ
 野山に、美しい紅葉の季節が来た。やがて、紅や黄の落ち葉が地面を覆い、樹木は厳しい冬に耐える態勢を整える。

 秋になり温度が下がり始めると、葉の基部に離層というものができ、ここで葉は切り離される。離層ができると、葉の中の糖類などの養分が移動できなくなって蓄積し、これがアントシアンなどの色素となり、紅葉ができるのである。紅葉はカエデの仲間がとくに美しい。

 一方、イチョウの黄葉も美しいものだ。これは、低温で葉の葉緑素が分解され移動してしまった結果、葉の中に残された黄色の色素が、目立つようになったものだ。

 ところで、カエデ類のうち庭木に広く用いられているのは、イロハモミジとその変種のオオモミジ、ヤマモミジなどである。これらには、昔から改良された品種がたくさんあり、紅葉の美しいものが多い。ところが、一部には、秋の紅葉よりも、新葉が展開したときの紫紅色が美しい品種もある。よく普及しているノムラという品種がそうで、春から夏にかけての紫紅色がとくに美しいが、秋にはほとんど紅葉しない。紅葉の原因が秋の紅葉とはまったく別なのだ。

 このような品種を、秋にもう一度紅葉させたいと思うなら、夏に一度、葉を全部落としてしまえばよい。そうすると、また新芽が出始めて、春と同じような紫紅色の葉が出てくる。実際にそのようにした苗木が園芸市で売られていることもあり、これが自然の姿かと間違えることも多い。ただし、夏に葉を摘むような不自然なことはあまりしない方がよい。

 カエデ類には枝垂れや葉の形が面白いものなども含めて、品種は多彩である。品種の選択を楽しみたいものだ。