植物の齢
―花が咲くには成熟が必要―
8月13日号掲載
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ササ
 岐阜県・根尾谷の「薄墨桜」は樹齢1200年という老木だが、いまだに毎年美しい花を咲かせる。化石としてのみその存在を知られていたメタセコイアは1945年中国四川省で自生しているのが発見され、「生きた化石」として話題を呼んだ。その後挿し木などで増殖して、いまでは公園などに広く栽植されている。このような寿命の長さはともかくとして、植物は花が咲き始めるまでに、ある程度の齢に達していることが必要なのだ。
 タケはおよそ120年、ササは60年に一度花が咲く。そして、地上部は枯れてしまう。開花までの期間の長い代表的なものだが、さいわいに、タケは花を観賞しないからよい。

 園芸植物では概して花が咲くまでの期間の短いものが多い。一年草類はその年に花を着けるが、洋ランや宿根草類でも数年以内である。クンシランは種をまいて4年、デンドロビウムは 挿し木後3年、シンビジウムはメルクロン苗(組織培養を行い試験管内で増殖した苗)を植えて3年ほどで開花する。管理の仕方によって少しは短縮できるが、やはり開花にはそれだけの株の大きさというか、齢が必要なのだ。昔から「桃、栗3年、柿8年」というとおりなのだ。

 齢は株全体だけでなく、個々の枝についても考えなければならない。たとえば、アジサイは8月以後に刈り込むと翌年花が咲かない。これは、10月の花芽分化期までに充実した枝ができないからだ。いいかえると、枝の齢が不足していることになるのだ。少なくとも芽が出始めて3カ月の日数が必要である。
 一般に古株は花がよくつき、若い株は咲きにくい。あわてることなく、のんびりと期間をかけるのも楽しみというものだろう。