花と低温
―人工冷蔵で球根を促成―
3月19日号掲載
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フリージア
 3月にもなると、植物は長い冬の眠りから覚めて芽をふくらませる。
 植物は厳しい冬を迎えるための態勢を秋までに整えていく。落葉樹は葉を落とし、丸坊主になるし、球根類は花の終わった後に葉の養分を球根に蓄えておく。キクのような宿根草はロゼット状態といって、茎がほとんどなく、葉だけを地際にたくさん出す姿となる。

 そして、春暖かくなり始めると、植物は活動を始める。不思議なことに、一度越冬準備の態勢に入ったら、冬の寒さに十分にあってからでないと、いくら暖かくしてやっても、芽は伸び始めない。だから、チューリップなどの秋植え球根を、秋に温室に入れて暖かくしても、決して花は咲かない。ところが、花屋には秋にもテッポウユリやアイリスがあり、年末にはチューリップフリージャスイセンなどが花盛りである。

 これは低温処理といって、球根を冷蔵庫に入れて、あらかじめ人工的に冬の寒さを与えて、それから暖かい温室で育てたものなのだ。この球根冷蔵の方法は研究もよく進んで、現在ではほとんどの秋植え球根が促成できるようになっている。これらはもちろん専門家の技術である。しかし、球根アイリスやスイセンは本格的な施設がなくても促成を楽しむことができる。なるべく大きな球根を8月ごろに入手し、箱に入れて、冷蔵庫(5〜8℃)に約40日間貯蔵する。そして鉢に浅く植え付けると11月には花が咲く。霜がおりるようなら部屋の日当たりの良い場所に移した方がよい。

 別項で紹介したウメなどの花木類の促成も、1月以後に咲かせるのは、すでに寒さに十分に会っているのでよいが、秋に咲かせるのはむつかしい。