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鉢物の管理の基礎

鉢花・ガーデニング植物の種類と性質
 鉢花は種類が多く、原産地は熱帯から亜寒帯まで、そして草本から木本まで非常に多様ですから、それぞれの基本的な性質を理解して管理しなければなりません。なお、「鉢花」とは鉢植えされた花きのことですが、慣例的に洋ラン、サボテン、多肉植物、観葉植物などは含めないのが普通です。しかし、サボテンでもシャコバサボテンやイースターカクタス、多肉植物でもカランコエなど花の美しい種類で量産されているものは「鉢花」のジャンルに入れるのが慣例で、必ずしも厳密なものではありません。

○ 一年草
 種子をまいてから開花し、枯死するまでの期間が一年以内の植物のことを言います。園芸的には秋まき一年草と春まき一年草に分けることが多いのですが、いつでもまける種類もあり、その地域の気候によっても変わります。しかし、便宜上この二つに分けて説明します。
▲秋まき一年草 
 夏〜秋に種子をまいて翌春開花して後、枯死するに至る植物を秋まき一年草といいます。多くは温帯原産の植物で、これらは生育の途中で冬の低温に遇わないといくら暖かくしてもうまく開花しない性質があります。例えばスイートピー、ストック、アスター、ナデシコ、ルピナスなどです。しかし、必要な低温は種類によってかなり異なり、わずかな低温でよいものや二月ごろまでの強い低温が必要な植物もあります。
 秋まき一年草の中には、本来は多年草でありながら、夏の冷涼な地方の原産で、日本の気候では夏越しできないものも園芸上この仲間に含めています。この例として、パンジー、デージー、キンギョソウなどがあります。
 なお、夏越しできるかどうかは普通は関東地方以西の平坦地の気候でいうので、北海道などの冷涼な地方では多年草になるものもあります。同様に、耐寒性が強いといっても寒冷地では越冬できないものもあります。
 また、秋まき一年草のうちで半耐寒性と称するものがあります。これは霜が当たらない程度の保護が必要な種類で、夜温3〜5℃程度で越冬するものです。
▲春まき一年草
 春〜夏に種子をまいて夏〜秋に開花して後に枯死する植物をいいます。これらの多くは亜熱帯〜熱帯原産のもので、低温に遭遇しなくても開花する性質の植物です。例えばアサガオ、ケイトウ、ニチニチソウ、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、マリゴールドなどです。
 春まき一年草の中には、本来は多年草でありながら、耐寒性がないために日本の気候では冬越しできないものも園芸上この仲間に含めています。例えばニチニチソウ、インパチエンス、コリウス、エキザカム、サルビアなどで、これらは温室で適温を与えれば生育を続け多年草になります。
○二年草
 種子まきから開花し、枯死するまでの期間が一年以上二年以内の植物をいいます。秋まき一年草とほとんど同じですが、大きな苗でなければ低温に感応しない植物です。このため春に種子をまいて翌年の春〜夏に開花させます。実用上この植物は少ないのですが、ルピナス、ジキタリス、カンパニュラなどの一部の種類でみられます。
○多年草
 多年にわたって生育、開花を繰り返す草本の植物をすべて多年草といいます。これには、宿根草、球根類、ラン、サボテン、多肉植物など多くのジャンルのものがあります。宿根草は多年草ですが、両者を同義的に使うのは正しくないのです。(このHPの図鑑では宿根草の植物はすべて多年草と分類しています)
△宿根草
 多年草のうち、主に温帯原産の植物で、冬は生育を停止して休眠状態になり、関東地方以西の気候で越冬、越夏できるものを一般に宿根草と言います。ただし、球根類も宿根草というべきでしょうが、園芸的には宿根草とは別のジャンルにします。また、ラン、サボテン、多肉植物や温室などの環境で多年草となるものも宿根草に入れません。
 宿根草は、冬の地上部の姿によって次のように分類できます。
 ・枯死しないで生長が緩慢になるもの。この例としてナデシコ類などがあります。
 ・地際に冬越し用のロゼット(節間が極度につまり、葉が重なって出ている状態)状態の芽を出すもの。この例として、キクがあります。
 ・地上部は全て枯れ休眠芽を残すもの。この例として、スズランがあります。
 宿根草は冬の低温にあって休眠が破れ、春の適温で生長し、そして開花する性質を持っています。
△球根類
 多年草の中で低温、高温や乾燥などの不良環境に耐えるために、地下部の根や茎などが太くなり、養分を貯蔵する器官となった植物群を特に球根類といいます。しかし、球根は基本的には宿根草と同じ仲間ですから、球根の形態によっては宿根草との区別が難しいものもあります。
 球根を植えつけ時期別に分類すると、次のようになります。
▲秋植え球根
 秋に植えつけ、冬〜春に生長し、春〜初夏に開花して後に球根が成熟して休眠に入る種類を秋植え球根といいます。これらの多くは地中海性気候の地域に自生しており、いわば温帯原産の植物です。開花のためには冬の低温が必要で、宿根草と同様に低温を経過して後、温度が高くなるにつれて開花する性質を持っています。
 チューリップ、スイセン、ユリ類、フリージア、ヒアシンスなどがこの仲間です。
▲春植え球根
 春に植えつけ、春〜夏に生長し、夏〜秋に開花し、秋に球根が成熟する種類を春植え球根といいます。これは、夏期が高温多湿になる地域に自生しており、いわば熱帯〜亜熱帯の原産です。
 グラジオラス、ダリア、アキネメスなどがこの仲間です。また、単に耐寒性が弱いために冬は地上部が枯れてしまう種類もこの仲間に入れます。例えばアマリリスがこれに入ります。
▲夏植え球根
 夏に植えると秋〜冬に開花する種類で、コルチカム、リコリスなどがこの仲間です。秋の冷涼な気候で開花することが特徴ですが、その後に低温にあって出葉や生育を行い、夏前に休眠に入る球根の生育のパターンからいえば、秋植え球根と基本的に同じ仲間です。
▲球根の形態
 一口に球根といってもいろいろな形態をしています。形態別に分類すると次のようになります。
鱗茎:地下部の茎が短縮して肥厚し、多肉化した葉(鱗片)が密に着生しているもの。チューリップ、ヒアシンス、スイセン、リコリス、ユリなどがあります。
球茎:地下部の茎が短縮して球形や卵形になり、鱗皮で表面を覆っているもの。クロッカス、グラジオラス、フリージアなどがあります。
塊茎:地下部の茎の先端が肥大して塊状にたなったもの。シクラメン、アネモネ、カラー、キュウコンベゴニアなどがあります。
根茎:地中を横走する地下茎そのものが肥大したもの。カンナ、スズラン、フクジュソウ、ジャーマンアイリスなどがあります。肥厚の程度が強いと球根、弱いと宿根草にしますがその境界は明瞭ではありません。
塊根:多年草の根が肥大して塊状になったもの。ダリア、ラナンキュラスなどあります。
○木本植物
 木本植物もたくさんの種類が鉢花として栽培されます。これらは落葉性のものと常緑性のものに大別できます。また、どの程度の丈に伸びるかによって、高木、低木などと分類します。
▲落葉性木本植物
 落葉性の木本植物は主に温帯原産のもので、秋に落葉し、冬の低温を経過して、春の適温で生長を始め開花に至ります。冬の低温が必要なことは宿根草や秋植え球根と同様です。この例として、アジサイ、フジ、クレマチスなどがあります。
▲常緑性木本植物
 常緑性の木本植物はツバキ、クチナシなどのように温帯原産で耐寒性が強いものもありますが、鉢花ではブーゲンビレア、ハイビスカスなどの熱帯花木といわれる仲間がたくさんあります。これらは、主として夏の鉢花で、原産地は熱帯ですから、耐寒性の弱いものが多く、冬は保温が必要です。一般に冬の低温は生育の必要条件ではありません。
○サボテンと多肉植物
 サボテンはサボテン科植物全てをさし、原産地は南北アメリカです。一方、多肉植物はサボテン以外のもので葉や茎が多肉化したものを総称しており、極めて多くの科にまたがっています。原産地はアフリカを主に全世界に広がっています。
 一般的にはサボテンや多肉植物は独立したジャンルで扱うので、鉢花には含めないのが普通です。しかし、主に花を観賞する目的の植物で、量産されているものに限って鉢花として扱っています。例えば、サボテンではシャコバサボテン、イースターカクタス、クジャクサボテンなど、多肉植物ではハナキリン、カランコエ、ポーチュラカなどです。これらは多年草として扱います。
○ラン
  ラン科植物のうち、東洋ランは日本、中国など東アジアの温帯原産の種類で、わが国で伝統的に趣味として栽培されるものをいい、洋ラン(西洋ラン)は東洋ラン以外の全てのもの、特に熱帯、亜熱帯原産のものです。それぞれ一つのジャンルを形成しているので、鉢花には含めないのが普通です。しかし、サギソウ、トキソウ、シュスラン、エビネなど一部のランは鉢花として扱う場合もあります。