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園芸豆知識・雑学編A植物知識編





片栗粉と葛粉のこと






@愛知県豊田市足助町飯盛山のカタクリ群落(人工増殖で保護され、観光名所になっている>
★ 片栗粉や葛粉は良質な澱粉として知られています。この澱粉の原料に思いをはせてみたいと思います。

 ★まずは片栗粉。市販されている片栗粉の原料はほとんどがジャガイモです。しかし、本来の片栗粉はカタクリの根に含まれる澱粉を生成したものです。

 ★カタクリは日本各地、特に中部地方以北の落葉樹林下で群落を作って広く自生している美しい花です。しかし、乱獲や環境の悪化がたたって絶滅危惧種に指定される地域も増えてきました。一方で、これを保護し増殖しようとする活動も各地で行われ、これを観光名所にしているところも増えてきました(写真@)。


Aカタクリの花

Bカタクリの花(
 ★カタクリは、早春に淡紫〜桃色の花が咲きます。春早く2枚の葉を出して花茎を10cmほど伸ばして、一花だけ下向きに咲きますが、その姿は何とも可憐です(写真B)。花は明るい環境でよく反転しますが、暗いとすぼんだままで開きません。葉は長楕円形ですが、普通は暗紫色の斑紋があります(写真A)。

 ★ところで、カタクリの花は早春に芽を出し、花を咲かせて後、地上部は枯れてしまいます。地上に姿を現すのは、年間に4〜5週間程度、年間のほとんどを地下だけで過ごす寂しい植物です。その故に、植物の生産性は低いわけですから、澱粉がたいへんな貴重品であることがわかります。しかも、種をまいてから開花するまで7〜8年もかかるのです。

 ★ちなみに、カタクリはユリ科カタクリ属の植物で、原産地は日本から朝鮮半島、学名はErythronium japonicumです。

 ★カタクリの解説はこの程度にして、片栗粉に話を戻しますが、片栗粉は、本来、カタクリから採取した澱粉であることは先に書きましたが、現在では上質の澱粉のことを表す普通名詞になってしまっています。商品表示になんだか違和感がありますが、カタクリと片栗粉の関係が忘れられている現在では、抵抗しても仕方ないのでしょうか。

 ★次に葛粉(くず粉)のこと。まずは葛粉は、「葛湯」、「葛切り」、「葛餅」などの原料として広く知られていますが、日本で古くから伝わる良質な澱粉の代表的なものです。


Cクズの自生状態(樹木などに絡みついて伸びる。上部では花が咲いている)。

Dクズの葉

Eクズの花
 ★葛粉はクズの根から得られる澱粉のことです。クズの根には薬効があり、「葛根湯」が風邪に有効な漢方薬として有名です。

 ★葛粉を採取するクズという植物は、どこででも見られる雑草のように性質強健な植物です(写真C)。日本中の道ばたの空き地などに生い茂っています。樹木や垣根、電柱などに絡みついて、覆うように茂るので処分に困っているところもかなりあるように思います。アメリカでは、日本からの帰化植物として各地で大繁殖し、有害雑草になっているそうです。

 ★クズはマメ科クズ属の蔓性の多年草で、万葉の昔から秋の七草の一つになっています。原産地は日本〜中国、学名は Pueraria lobata。葉は3出複葉で、小葉は卵形、長さ10〜20cmとかなり大きく(写真D)、つるの長さは10m以上になります。初秋の頃、紅紫色の穂状の花が咲きます(写真E)。根は長芋状の塊根になり、長さ1m以上、径は20cmほどにもなりますが、ここに澱粉を蓄えます。

 ★ところで、この葛粉もまた、片栗粉と同様に、サツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシなど、クズでない澱粉が葛粉として普通に流通しています。この故に、クズの澱粉が100%のものを「本葛粉」と呼んで区別しているようです。

 ★片栗粉はカタクリから、葛粉はクズから採取していたが故にこの名称があると思いますが、いまでは、普通名詞化してしまったようです。私には何となく違和感がありますが、感覚が古いのでしょうか。