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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





中国のお茶のこと@ お茶の故郷中国雲南省のプーアル茶の芸術








@大きな硬貨(径20〜30cmほど)のような形にプレスしたお茶

Aアジアの古地図にプレスして額縁に入れたお茶

B円形の額縁に入ったお茶
 ★右の画像(@AB)を見て、何だと思いますか。いずれも中国雲南省昆明市で撮影したもので、実はお茶なのです。茶葉を固めたものです。額縁入りのアジアの古地図まであり(写真A)、お茶屋さんの商品棚にはいろいろな芸術的とも云える商品が並んでいます(写真C)。お茶のようにはとても見えませんが、普通の茶葉も商品として並んでいるので、やっと、お茶なんだと気づくほどです。

B額縁入りの茶の品々を売る店棚

B茶餅の並んだお茶屋の棚


 ★ところで、お茶には紅茶があり、緑茶があることは誰でも知っていますが、これは単に製法の違いだけのことです。製茶過程で、葉を発酵させるのが紅茶、加熱して酵素を殺し発酵させないのが緑茶です。その中間が、日本で有名な烏龍(ウーロン)茶です。

 ★では、お茶の元祖たる雲南地方のお茶はどれに属するのでしょうか。ここのお茶はプーアル茶で、これは緑茶なのです。しかし、飲んでみると日本の緑茶の雰囲気からはほど遠く、どちらかといえばウーロン茶の風味を感じます。実は、このプーアル茶は間違いなく緑茶なのですが、茶を製造して後に「後発酵」させているので、日本の緑茶とは味が全く異なるのです。日本では「新茶」を珍重し、古くなると風味が落ちるので、貯蔵にたいへんに気を遣います。しかし、プーアル茶は製造して後、年数が経過したものほど味が良くなり、価値が高まるとされています。6年もの、12年ものなどと記載したお茶が普通に販売されています。

 ★プーアル茶といってもいろいろなものがありますが、餅か煉瓦のように固めた「茶餅」といわれるものが有名です(写真B)。この餅状にしたものを長期貯蔵(後発酵)させるのです。そして、茶餅は、必要量だけ削って飲用に供します。これを芸術的といっても良いほどに進化させたものが写真@〜Bだと思えばよいのですが、さて、この額縁の茶絵?が本当に削られて飲用に供するのか、定かではありません。いずれにしても、プーアル茶は、中国のお茶としては世界的に知られています。

 ★以前に、オランダのレストランで食事をしたとき、仲間の誰かが「ウーロン茶」を注文しましたが全く通じず、「チャイニーズティ」と言い直したとき、向こうは「プーアルティ」ですねと返事が帰ってきて、やはり中国を代表するお茶なのだと再認識したことがあります。

 ★かって、日本の飲料メーカーが、ウーロン茶の宣伝で、「中国人には肥満の人はいない、それはウーロン茶を飲んでいるからだ」といった意味のコマーシャルをしたことがあります。この宣伝効果は絶大で、以後、「中国人はウーロン茶を飲む」と思いこんでしまった日本人が多いように思います(中国人にも肥満者はいますよ)。しかし、これはとんでもない宣伝で、実は中国人のほとんどの人は緑茶を飲んでいるのです。ウーロン茶を飲むのは台湾や福建省付近の人なので、いわば少数派です。もっとも、日本人観光客がウーロン茶を注文するので、最近は各地のホテルやコンビニにもウーロン茶のペットボトルを置くようになっています。

 ★ところで、日本の緑茶は製造過程で、蒸すことによって発酵を止めますが、中国の緑茶は炒ることによって発酵を止めます。そのあたりが中国茶と日本茶の味の違いになっているのかもしれません。日本方式のお茶の製造法は現在では日本独特のものになっているように思えます。その典型は抹茶でしょうか。

 ★どうして地球上の地域によって、お茶の製造法の違いができたのかは専門家ではない私にはよくは分かりませんが、温帯地方などの北方が緑茶、亜熱帯の台湾などで半発酵茶のウーロン茶、さらに暑い南方に行けば発酵茶の紅茶、この関係があるように思えます。おそらく、発酵茶はおおもとをただせば、発酵を止めることに失敗したのが起源のように私には思えてなりません。ヨーロッパは紅茶の国ですが、これは大航海時代、熱帯の国からお茶を導入したことによるのでしょう。イギリスの紅茶はたいへんに有名ですが、なんのことはないアジアで製造されたお茶を販売しているのです。