ホ ー ム園芸百科鉢花図鑑観葉図鑑豆 知 識

園芸豆知識・面白い形態編





気根のこと






@ガジュマルなどが他の樹に付着して気根を伸ばしている状態(西表島)
 ★熱帯には面白い根の形をした植物がとても多いのです。

Aガジュマル(インドネシア)

Bガジュマルの倒木(西表島)
もともと、根は地中にあるものですが、熱帯ではしばしば空気中に根を伸ばしているのを見かけます。これを気根(きこん)と云います。気根が出やすい植物はたくさんあり、フィカス属タコノキ科、ヒルギ科の植物などが有名です。

 ★たとえば、写真@は、大木に付着したいろいろな植物が気根を大量に伸ばしている風景で、ジャングルの壮大な生存競争を見る感じです。

 ★ベンジャミンゴムインドゴムノキなどの観葉植物として馴染みのフィカス(イチジク)属の植物は気根(きこん)を大量に伸ばします。長さ数メートル、時には10m以上にもなる気根を根の雨のように伸ばしています(写真A)。「絞め殺しの木」で知られるガジュマルもフィカス属の植物ですが、鳥が運んだ種子が樹上や岩などで発芽すると、気根を旺盛に出して絡みつきながら生長し、やがて、絡まれた木は朽ち果て、中は空洞になってしまいます。その頃には、気根は植物を支える役割を果たすまでに発達しているのが普通ですが、時には自身を支えきれなくなって倒伏する場合もあります(写真B。


Cタコノキ(インドネシア)
 ★タコノキは気根が太く、あたかも蛸が足をのばしているようなので、タコノキと名付けられています。

 ★気根は、空気中の養分や水分を吸収するためのもの、支柱の役割のためのものなど、目的は様々です。フィカス・ベンジャミナの場合は、主に空中水分などの吸収の目的、タコノキなどは支柱の役割がかなり大きいように思えます(写真C)。支柱としての役割が大きい場合は、特に支柱根と呼びます。

 ★十分な水分が得られない環境にすれば、普段は気根を出さない植物でも気根を出すことがあります。たとえば、身近な植物ではシャコバサボテン、デンドロビウムなどがあります。

 ★一方で、根は普通は下の方向に伸びるものですが、地中から根を上に出す場合があります。土中の酸素が不足するため、地上の酸素を吸収しようとする工夫です。この場合も気根と似た働きをするわけです。しかし、地中から地上に顔を出す根を特に呼吸根と呼んで、普通は気根と区別します。

Dオヒルギの膝根(しっこん)(西表島)

Eハマザクロの筍根(じゅんこん)(西表島)
マングローブのように、泥湿地で育つ植物は、土中に酸素が不足するので、多くの植物が呼吸根を出します。

 ★たとえば、マングローブの代表的な樹種であるオヒルギの呼吸根は、いったん土中に伸びた根が上に伸びて鋭く曲がり、再び土中に入り、これを繰り返す不思議な姿をしています(写真D)。この呼吸根は膝を立てたような姿ですから、特に「膝根(しっこん)」といいます。

 ★また、同じくマングローブを形成するハマザクロなどは地下を這う根から、呼吸するための根を地上へ多数立ち上げます(写真E)。この呼吸根はタケノコのような姿に見えるので、これを特に筍根(じゅんこん)と云います(豆知識「マングローブ」参照)。

Fラクウショウの呼吸根(台湾)

Gイチョウの気根(愛知県津島市)

Hイチョウ雄木の気根(愛知県津島市)


 ★呼吸根といえば、比較的身近に見られるものに、ラクウショウ(落羽松)があります。ラクウショウはメタセコイアに似た姿をしている落葉高木で、別名をヌマスギと云い、湿地でもよく育ちます。そして、多数の呼吸根を出します(写真F)。この呼吸根は膝根(しっこん)のようです。湿地でないところでは、呼吸根の数は少なくなります。

 ★再び、気根に戻りますが、熱帯ではかなり普遍的に見られるにかかわらず、温帯地域では樹上から垂れ下がるほどの気根をほとんど見ません。が、しかし、イチョウ(銀杏)は古木になると風変わりな気根が出ます。イチョウの気根は地面までとどくほどではありませんが、乳房状の突起が出ます(写真G)。日本では銀杏は神社やお寺などに古木が多いのですが、この乳房状の突起に縁起をかついで、母乳がよく出るように、あるいは安産などに効能があるように、とのことで信仰の対象になっているものが各地にあります。

 ★ちなみに、イチョウは雄木と雌木があり、ギンナンの採れる雌木は大事にされますが、役立たずの雄木は早く処分されることが多く、大木にまで育っているのはやや少ないのです。ですから、気根を見るのは普通は雌木のほうが多いのですが、形がいくら乳房状だと云っても雄木にも当然この気根は出ます(写真H)。