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園芸豆知識・面白い形態編





板根のこと






@カナリウム(Canarium decumanum:カンラン科)の板根(インドネシア)
 ★熱帯では、幹の近くの根が地上に出て、見事な板状になった姿をよく見かけます。これを板根(ばんこん)と言います。この現象は熱帯雨林の地域で多いのです。

 ★熱帯地域は、腐植が早く分解されるので概して表土が浅く、木の根は地中奥深くまで伸ばすことができない場合が多いのです。一方で生長は旺盛で、大木になりますが、地中の根だけでは植物体を支えきれないので、板のように縦方向を厚くすることで、自らを支える力をつけているのです。巨大な板根は圧倒される感じがします(写真@、A)

 ★根なのですから当然に呼吸作用をしていると考えれば良く、その意味では支える役割だけでなく、気根のように、空中の酸素や水分も吸収していると思えばよいのでしょうか。

 ★日本でも南西諸島では、板根がかなり普通に見られます。特に、サキシマスオウノキやオキナワウラジロガシなどは大きな板根を形成します。

 ★サキシマスオウノキはマングローブ林の背後の湿地に多いのですが、この板根は巨大です。本種はアフリカ東岸からポリネシアにわたる広範囲に分布するアオギリ科の常緑高木で、日本では奄美大島以南で見られます。地上にうねうねと屈曲する板根はたいへんに印象的で、西表島などでは巨大なものを見ることができます。西表島の仲間川のマングローブ遊覧船の折り返し点近くのサキシマスオウノキの巨木は、板根の高さが3m以上もある日本最大級と思えるものですが、これは観光ルートにも組み込まれています(写真B)。


Akoompassia excelsaの巨大な板根、横幅は20m以上は十分にあります。この木は高さが数十mにもなる巨木で、材木はメンガリスあるいはメンゲリスと呼んでいるようです(インドネシア)

Bサキシマスオウノキの板根(西表島)

Cオキナワウラジロガシの板根(西表島)
 ★南西諸島ではオキナワウラジロガシの板根もかなり多く見られます。本種はブナ科コナラ属の常緑高木で、琉球列島の固有種です。この板根はサキシマスオウノキとは形がかなり異なって厚みを感じます(写真C)。


Dイチョウ:傾斜地で見られた板根状になった根の姿(愛知県津島市)

 ★板根は基本的には表土の浅い熱帯特有のものですが、温帯域でも傾斜地などで表土が流失しやすいところでは、根が地上に露出して、板根状の姿になります(写真D)。