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園芸豆知識・面白い形態編





サボテンの果物 「ドラゴンフルーツ」と鉢物
図 鑑





@ドラゴンフルーツ(ピタヤ)(ベトナム)
 ★サボテンといえば日本では観賞植物と思いがちですが、意外と食用にも利用されているのです。葉肉や花を野菜として、あるいは家畜の飼料として利用します。また、果実は果物になります。

 ★熱帯地方を旅するとよく見かけるのが、写真@のような赤い果物です。これは「ドラゴンフルーツ」あるいは「ピタヤ」といい、実は、サボテンの果実なのです。

 ★ドラゴンフルーツは、楕円形の果実で、かなり大きく、長さは10〜15cmほどあります。果皮は赤色でも、果肉は普通は白色で、小さな黒い種子が多数入っています(写真A)。果肉は多汁質で、やや酸味があり、種子は果肉と一緒に食してあまり気になりません。

Dドラゴンフルーツの結実している状態(台湾)
キュウイフルーツの種子と同じ程度の感覚です。

A白肉のドラゴンフルーツ(カンボジア)

B赤肉のドラゴンフルーツ(レッドピタヤ)(マレーシア)

Cイエローピタヤ
やや酸味があり、なかなか美味だと思います。熱帯地方のホテルの朝食バイキングでもこれをよく見ますが、果肉部分だけをスライスしてあるので、気付かない方もあるようです。一方、果肉が赤色のレッド・ピタヤと呼ばれる種類もありますが、これの方が酸味が少なく、甘味が強いです(写真B)。また、果皮の黄色いイエローピタヤなどもあります(写真C)。

Eドラゴンフルーツの花(タイ)


  ★この果物ができるのはヒモサボテン属(ヒロケレウスHylocereus属)のサボテンで、この属の植物を総称してサンカクサボテンと呼ぶ場合がありますが、園芸名で云えば「三角柱」の仲間です。写真Dのように葉状茎(茎節とも云います)は3稜で、もともと樹木に絡まったり、岩の上を這って伸びる植物ですから、写真のように少しだらしない育ち方をします。しかし、花は白色で、たいへんに大きくて美しいのです。夜開性で、午後9時頃に咲き始め、強い芳香を放ち、朝にはしぼんでしまいます。写真Eは、朝9時頃に写したもので、既にかなりしぼんでいます。そして、花が咲いて1ヶ月もすれば、赤い果実が収穫できます(写真D)。

 ★このサボテンを英名ではqueen of the night(夜の女王)というほどですから、花の美しさは、有名な月下美人に負けてはいません。ゲッカビジンはクジャクサボテン属の植物で、ドラゴンフルーツとは属が異なりますが、この二つの属はかなり近縁で、両者共に花が美しいのです。

 ★「ドラゴンフルーツ」(dragon fruit)の名前が日本では有名ですが、実は、ヒモサボテン属の果実は総称して「ピタヤ」(スペイン語:pitahaya、英語:pitaya)と云います。そして、中国語では「火龍果」と云います。この中国語を英訳したのがドラゴンフルーツです。中国は原産地でも何でもないのに、なんだか命名の順序が違うようですね。おそらく最初に輸入したときに、華僑が使っていた名前を英訳したのでしょう。なお、別の英名ではストローベリーピアー(strawberry pear:苺梨)といいます。ちなみに、「火龍果」は果肉が白色の種類の名前だと思いますが、実は、いろいろなドラゴンフルーツは、主に品種の違いではなく、種(種類)そのものが異なるのです。


Fド月下美人の花が八百屋で販売されている(台湾)
 ★ドラゴンフルーツを採るサボテンは果物はもちろん、花そのものも食用になります。葉肉も原産地のメキシコや中南米では野菜として食するそうですが、私は実見していません。台湾のフリーマーケットなどで近縁の月下美人の花が野菜として販売されており(写真F)、炒め物などにするようです。

★このサボテンの栽培は容易で、熱帯では家庭果樹としても好適なようです。農家の庭などに植わっているのをよく見かけます。アメリカ大陸原産ですが、熱帯の世界各地で栽培されています。もちろんアジアでの栽培も多く、ベトナム、マレーシア、タイ、中国、台湾などでたくさん見かけます。日本でも果物店で見かけることがありますし、沖縄では栽培している農園もかなりあります。

 ★ゲッカビジンは日本では普通は実が着きません。これは、他花授粉する植物なのに、授粉を媒介する動物がいないためです。しかし、人工的に授粉させてやると、ドラゴンフルーツのような果実ができて、食べることが出来ます。もちろん花も食べることが出来ます。ただし、台湾ではゲッカビジンの花を食べるとの記述をよく見かけますが、私は台湾でゲッカビジンの栽培畑を見たことがないので、なんとなく、花が似ているドラゴンフルーツのことを云っているような気がします。

Gサボテンの果実(韓国)

Hサボテンの果実(南アフリカ)


 ★なお、サボテンの果実は、このドラゴンフルーツ以外にもあります。たとえば、写真Gは韓国で、写真Hは南アフリカで販売されていたものです。間違いなくサボテンの果実ですが、ドラゴンフルーツとは異なる属のサボテンの果実でしょう。

 ★ところで、数年前から写真Iのような鉢物が台湾で出回り始めました。格好のいい小さな鉢に、発芽したばかりの幼植物を敷き詰めた緑の絨毯のような鉢物です。ときには、ナギの下草として敷き詰めたデザイン商品もありました(写真J)。なかなか感じの良いものです。台湾ではこの植物を「グリーンダイアモンド」と称していましたので、本当の植物名が始めはよく分かりませんでした。しかし、実はドラゴンフルーツの発芽したばかりのものだったのです。サボテンも発芽したばかりのときは刺もなく普通の双葉の状態ですが、時間がたてば、写真Kのように、柔らかい刺のある芽が伸びてきますから、これで、本名を隠してもすぐにバレバレです。さすがサボテンですから、乾燥にはたいへんに強く、水をほとんどやらないで管理すれば、この双葉状態のままたいへんに長期間にわたって生育を止めて、同じような姿で観賞し続けることができます。不思議な植物です。この仕立て方の鉢物は日本でも流通しています。ドラゴンフルーツは食品としての利用だけではないわけです。

Iドラゴンフルーツの発芽直後の鉢物(台湾)

Jドラゴンフルーツの発芽直後の鉢物(台湾)

Kしばらくするとトゲのある植物に生長する(台湾)