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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





バナナの雑学
図 鑑






@バナナの雄花(ラオス)
 ★バナナは果物なのだろうか。野菜なのだろうか。そして、写真@はいったい何なのだろうか。これらのことは後に譲って話を進めよう。


Aバナナの栽培風景(台湾)
 ★バナナ畑は熱帯アジアならどこに行っても見られる普通の農村風景です(写真A)。高さ数メートルにもなる植物ですが、実はこれは多年草なのです。いわば、巨大な「草」なのです。

 ★日本では、イチゴ、トマト、メロン、スイカなどは、果物ではなく野菜扱いをします。それは、「木」ではなく「草」にできる果実からだろうと思います。その論理でいえば、バナナも野菜になってしまいますが、どうもこれだけは果物扱いをしているようです。

Bバナナの開花初期。先端の尖っているものは雄花。基部には雌花が着く(マレーシア)。

C雌花が果実として大きくなり、雄花は長く伸びる(マレーシア)。


 ★日本ではバナナの果実を生食する習慣しかないので、バナナは「果物」だ、いや草に出来るのだから野菜だ、などのある意味ではどうでも良いような議論が出るわけであって、東南アジアでは熱を加えて料理するいわば「野菜」としての利用も多いわけですから、果物か野菜かは使う立場から考える方がよいのかもしれません(写真E:料理用バナナ)。

  ★ところで、バナナは雌雄異花で、花茎の基部には雌花が、先端に雄花が咲きます(写真B)。当然のことながら、雌花に着いた果実を食するのですが、先端にある雄花の部分も野菜として食べるのです。それが、フリーマーケットの野菜で写した写真@なのです。東南アジアの国々では普通に野菜市場で販売されています。

Dホークの右側が雄花を大きく縦割りした生のもの
バンコックのレストランで食べた料理には生のままの雄花が添えられていました(写真D)。


E料理用のバナナ(タイ)
 ★さて、果実の方ですが、種子が入ってないのが普通です。野生種などで種子が入るのもありますが、栽培種は単為結果性といって、花粉が着かなくても果実が肥大する性質の品種になっています。さらに、生食用品種は三倍体になっているので(一般の植物は二倍体)、種子が出来ることがありません。参考までに、種なしスイカは三倍体です。

  ★生食用は果実内の炭水化物がほとんど糖質化して、消化のよい状態になっていますが、料理用の品種は糖化していない澱粉がたくさんあります。澱粉が多いのですから、加熱しなければなりません。

F皮を剥いて焼く(ラオス)

G皮を付けたまま焼く(タイ)

H天ぷらにする(マレーシア)
たとえば、煮るとか焼くとかしなければなりませんが、東南アジア地方のフリーマーケットなどで焼きバナナを売っている風景をよく見かけます。その焼き方も皮を剥いて焼くもの、皮付きで焼いて後で皮を剥くもの、バナナの皮で包んで焼くものなどいろいろで、バナナの品種によって異なるようです。




 下の写真3枚の左側は日本で普通に食べる生食用のバナナですが、右は赤い色、中は中間の色をしたバナナで、やはり生食用です。







Iバナナの葉を包装資材として販売(タイ)

J花の包装資材としてバナナの葉を使う(ミャンマー)

K花を販売する台にバナナの葉を敷いている(タイ)
 ★東南アジアの国々は、いわばバナナ文化といってもよいほどにバナナは生活に密着した植物になっています。食料としての利用以外に、包装資材、家畜飼料、装飾資材、繊維資材、食器用などなど、その用途はきわめて多彩で、植物体のすべてが、生活に利用されています。農家の庭先には必ず数本以上のバナナが栽植されています。


K竹ザルの周りにバナナの葉を立てて穀類を入れている(ラオス)

Lバナナの葉を巻いて蒸し焼きにする(タイ)
 ★包装資材として、フリーマーケットや花市場では、バナナの葉が布か紙を売るかのごとく販売されています(写真I)。

 ★花の包装にもバナナの葉が使われる場合がかなりあります(写真J)。バナナの葉の包装資材としての役割は、我々が新聞紙を使う以上に用途が広いように思えます。花屋さんでは売り場の敷物にまでバナナの葉を使っているのを普通に見かけます(写真K)。竹ざるから穀類がこぼれないように、バナナの葉をざるに敷くような使い方まで、用途はまさに多様です(写真K)。

 ★それから、たいへんに重要な役割をしているのは料理のときに、魚や肉などをバナナの葉で包んで、蒸し焼きにする料理法がかなり行われていることです(写真L)。いわば料理用の鍋の役割を果たしていることになります。

 ★その他繊維を採って布にもします。また、家畜の飼料にも使います。


Mバナナの仮茎を輪切りにしたものを販売している(タイ)。

Nタイのお祭り、ロイカトンで川流しする花灯籠
 ★バナナの茎(正しくは仮茎、葉鞘が茎状になっているもの)は、フラワーアレンジで使うオアシスのような役割もします。花市場では、バナナの仮茎をきれいに裁断したものが販売されています(写真M)。タイのロイカトン祭りでの精霊流しでは、このバナナの茎をオアシス代わり使った花灯籠が川に流されます(写真N)。どの灯籠も仮茎の周りをバナナの緑葉で覆い、さらに、葉を美しく細工して装飾しています。

 ★日本では「バナナのたたき売り」を始め、バナナをあまりいい表現に使わない傾向がありますが、熱帯アジアの国々ではバナナは生活に密着した重要な植物なのです。

  ★ちなみに、バナナは高温性の植物で、日本では石垣島など南西諸島の一部や小笠原諸島以外では栽培がむつかしいのですが、温室内では十分に栽培可能です。


O観葉植物として出回るバナナの鉢植え
 ★また、葉を観賞するための観葉植物として鉢植えも流通しています。この場合にもいろいろな品種がありますが、主に草丈の低い品種が使われ、また、茶色の斑入り品種も使われます(写真左最下段)。

 ★この茶色の斑入りは、バナナ畑でもよく見かけます。インドネシアの植物病学の専門家に聞いたところでは、ウイルス病によるものだとのことでした。