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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





熱帯果物の王様ドリアンの臭い話





@ドリアン持ち込み禁止マーク(タイ、マレーシア)



Aドリアンの果実(インドネシア)
 ★上のマーク、東南アジア独特のものです。ホテルやレストランなどの入り口でよく見かけます。ドリアン持ち込み禁止のマークです。もちろん、正規のマークではありませんから、デザインは様々です。

 ★熱帯果物の王様といわれるドリアンは、強烈な悪臭がします。王様といわれるだけに、味は何とも美味だとは思うのですが、この悪臭故に日本人の評価は見事に二分し、とても食べられないという人もかなりいます。

 ★この悪臭はどう表現すればよいのか、タマネギの腐ったような、あるいはチーズが腐ったような、ともかく異様な臭いです。そして、衣服などに染み付くと数日間はとれないというほど強烈です。

Bドリアンの果実の内部(タイ)

Cドリアンの可食部だけでも売っている(タイ)
ビル内のどこかで食べる人がいると、ビル中に悪臭が漂うほどに強烈ですから、この臭いを嫌う人がいる以上は、ホテル内持ち込み禁止は当然のことでしょう。旅をしてこれを食べたいなら、道路上やホテルの庭などで食べるより他ありません。もちろん、飛行機の中も持ち込み禁止です。

Dドリアンを山と積んで販売していた中国・長春のスーパーマーケット

 ★以前に、ミンダナオ島のダバオからマニラまでの飛行機で、この臭いに参ったことがあります。ミンダナオ島は良質のドリアンの産地ですから、土産に持ち帰る人が多いのでしょうか、機内持ち込み禁止ですから、預け荷物にしているはずなのに、なおかつ臭うのですね。量が多いからだろうと思いますが。

 ★そのようなわけで、販売しているのはほとんど露店です。とはいいながら、中国のスーパーマーケットでは果物売り場にドリアンが山と積んで販売されている風景をよく見かけます(写真E)。もちろん室内です。これだけ強烈な臭いでも、臭いというものは慣れてくると次第にあまり感じなくなるもののようですね。

 ★ドリアンはこの堅い皮を剥くと、生クリームに似た粘りのある柔らかい肉質部分があり、これを食します(写真B)。ドリアンに慣れている熱帯の人でも、この皮を剥くのが面倒な都会人が増えてきたのでしょうか、最近は中身だけを売っている店も増え始めたようです(写真C)。いずれにしても臭いの問題点を除けばたいへんに美味です。

F高い樹冠にはドリアンの果実が無数ぶら下がっている(マレーシア)

G枝には果実がこんなにたくさんぶら下がっている(マレーシア)


 ★このドリアン、学名はDurio zibethinus 英名はdurianといいます。マレー語でduriは刺のあるものといった意味ですから、果実の表面にある刺から付けられた名前でしょう。高さ40mにもなる高木で、ドリアン園でも少なくとも10m以上の高さになっています。

E遠方にあるひときわ高い木はドリアンの木(マレーシア)

H樹下にはなりすぎた果実が自然落下している(マレーシア)
赤道に近い熱帯の樹園などでひときわ高い木が林立しているとドリアンである可能性が高いのです(写真E)。樹冠付近をよく見るとたくさんのドリアンがぶら下がっています(写真F)(豆知識「幹に実がなる不思議な植物」参照)。

 ★よく見ると少し細い枝まで果実がぎっしりと着いていますが(写真G)、多すぎる果実は熟する前にもかなり自然に落下するようで、樹下には果実がごろごろと転がっています(写真H)。

 ★果実が熟するとやはり自然に落下してきます。ですから、収穫は落ちてきた果実を拾うだけです。果実が落ちてきたときには大きくて重いだけに「ドーン」という地響き音がします。

 ★ミンダナオでの経験ですが、会議をしていると「ドーン」「ドーン」と外で音が響くので驚いたことがあります。当時は治安があまり良くなかったころだったから、てっきりゲリラ戦が始まって遠くの方で大砲を撃ち合っているものと錯覚しました。でも、大砲でなくても、この大きくてイボイボのある果実が頭の上に落ちたら終いです。ですから、ドリアンの樹の周囲にはロープが囲ってあり、入らないように警告している場合が多いように思います。

 ★ドリアンはマレー半島かボルネオ付近の原産で、アジア独特のものです。高温要求性が強く、栽培適地はかなり狭く、東南アジアの赤道に近い国々が産地になっています。温度的には栽培できる地域でも、高木だけに強風には弱いので、台風の心配がない赤道近辺での栽培が多いようです。少なくとも私の印象では赤道に近いほど美味いように思えます。

 ★鼻をつまんででも、是非この熱帯果実の王様を食して欲しいものです。




Iマンゴスチン(インドネシア)
 ★ちなみに、蛇足ですが、熱帯果実の「女王」と称されているのが、マンゴスチンです(写真I)。これは、甘みがあり、日本人の嗜好にはよく合うようです。