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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





中国のボタンのこと






@広大な牡丹の栽培畑(中国・洛陽)
 ★ボタンは中国の国花ともいえる中国を代表する花です。清代以後、ボタンが中国の国花であったと云う歴史的な経緯はありますが、中華民国が成立して国花はウメに変更されました。さらに中華人民共和国が成立しましたが、いまだに国花は正式には制定されていません。ですから、ボタンは正式には国花ではないのです。

 ★現在、中国では、国花の制定作業をしているようで、その候補にボタン、ウメ、ハス、キク、ランの5種ほどが挙がっています。いずれも中国を代表する花です。その中でも、ウメとボタンは有力候補だそうです。が、しかし、いずれにしても、ボタンが中国を代表する花であることは確かです。

A牡丹園。市民の憩いの場でもある(洛陽)

B同上

 ★中国には牡丹園が多くあり(写真A、B)、また、河南省や山東省付近にはボタンの苗を生産する農場がたくさんあります。その農場のスケールはきわめて大きく、数十ヘクタールもある農場がいくつかあり、遙か彼方までボタン一色といった風景が見られます(写真@)。こんなにたくさんの苗を生産して、はたして全部売れるのだろうかなどと考えてしまいますが、ほとんどは国内で消費されるのだそうですから驚きです。やはり中国は巨大な国です。

 ★ボタンの原産地は云うまでもなく中国です。中国での栽培の歴史はきわめて古く、紀元前の漢代(BC206〜220)のころには既に薬用植物として栽培されていたそうです。観賞植物としては、南北朝(420〜589)時代に栽培され始めたそうですから、1500年ほどの歴史を持っていることになります。そして、特に唐代(618〜907)以降、ボタンが「花の王」として中国で広く愛される花となったようです。

 ★ところで、ボタンシャクヤクはよく似た花ですが、同じボタン科ボタン属の植物です。この両者の違いは、ボタンは低木、シャクヤクは多年草というのが決定的です。要するに、「木」と「草」の違いなのです。「立てば芍薬,座れば牡丹,歩く姿は百合の花」という言葉がありますが、シャクヤクは茎がよく直立し、ボタンは枝が横に張りやすい樹形をしていることから、美人の立ち姿と座った姿にたとえたものでしょう。また、「獅子に牡丹」は、獅子は「百獣の王」、牡丹は「花の王」から最高に豪華な組み合わせとされ、絵画などの図柄や家紋などに使われます。


Cボタンの花(洛陽)

Dボタンの花(洛陽)
 ★ちなみに、ボタンの品種はたいへんにたくさんありますが、花の形の違いより色の違いの方が大きいように思います(写真C、D)。話が日本のことになりますが、寒牡丹という冬咲き品種群があります。これは、枝の頂点に着く蕾だけが冬に咲き、下枝の蕾が早春に咲くという二期咲きの性質があります。それで、下方の蕾を除去し、頂点の蕾だけを早く開花させ、寒い冬に「藁包」のもとで開花させて楽しむことが日本では広く行われています(写真E)。


Fガーデンセンターでボタンの鉢植えを買う女性(洛陽)

E寒牡丹の藁包
 ★なお、ボタンは地植だけでなく、鉢植えにもします。中国でも鉢植えが園芸店でかなり流通しており、購入する人も多いように思います(写真F)。

 ★ボタンは普通は接ぎ木で繁殖しますが、日本ではシャクヤクを台木にして接ぎ木します。しかし、中国では、共台といって、ボタン同士で接ぎ木するのが普通です。台木には性質の強健な台木専用の品種を使います。