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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





中国の温室のことあれこれ






@中国北方地域で見られる温室。豪華な中国北方式温室(江蘇省・無錫市)


A同上の温室の内部
 ★中国の江蘇省より北の方の地域には、北面と妻面(東西面)が煉瓦作りで、南面だけがガラス屋根という温室がかってたくさんありました。かなりデラックスで、独特の形態をしています。(写真@)。

 ★温室の内部は、コンクリート板で、階段状になっていて、そこに鉢物を並べるようになっています(写真A)。これはガラス面と同じ勾配で階段状になっているので、ガラスからの距離がどこも同じになります。おそらく光条件などを考えてそうしたのでしょう。そして、北面の外側には「かまど」があり、煙道が階段下に張り巡らされています。その煙道からの放熱で暖房する仕組みになっています。いわば、オンドル式の暖房といってよいでしょう。コンクリート板は、昼間に太陽熱を蓄えて、夜間放出させる効果をねらったものでしょう。かって静岡県などで栽培されていた「石垣イチゴ」の論理です。寒さの厳しい地域で考案された合理的な施設であったように思えます。独特の方式なので、私はこれを「中国北方式温室」と呼んでいます。まだ、この温室はかなり残っています。

 ★この温室は古くからあったようで、私が初めて中国を訪問した1980年代、蘇州付近でこのタイプの温室をたくさん見ました。ここでは、マツリカ(ジャスミン)がかなり栽培されていました。中国の有名なジャスミン茶の原料生産をしていたのでしょう。ジャスミン茶は蘇州の特産品です。


B中国北方式ハウス(北京)

C中国北方式ハウスの内部の鉢物栽培用ベンチ、北面は煉瓦積み(山東省)

D中国北方式ハウスのコモ掛け(北京)

 ★実は、日本にも北面を泥壁にする片屋根式のガラス室がありました。高級ブドウのマスカットオブアレキサンドリアがこのタイプの温室で作られていましたから、岡山県にはたくさんありました。ただし、内部をコンクリート板の階段式にしたオンドル式暖房の温室は日本には無かったように思います。

E中国北方式ハウスの内部、北面は煉瓦積み(地植えの場合)(北京)

F緩い屋根勾配で間口を大きくした中国北方式ハウス(山東省)


 ★さて、その後、ビニール時代に入って、この温室は中国独特の変貌をしたように思います。北面、妻面煉瓦は従来の方式のままで、屋根が鉄パイプ、ビニール張りの形式になりました。現在、華北地域ではこのビニールハウスが多数見られます(写真B)。中国北方式ハウスですね。ビニールハウス形式になってからは、コンクリート板の階段式のベンチはなくなり、地面に直接定植する野菜や切り花が栽培されています(写真E)。鉢物の場合は普通のベンチが作られています(写真C)。

 ★このビニールの上に冬の夜間はコモを掛けて保温するのが一般的です(写真D)。これはたいへんに労力のいる作業になります。実は日本でも静岡県のメロン温室で、かって、このコモ掛け作業を行っていました。

 ★ビニール屋根の場合は、ガラスに比べると屋根勾配が緩くできるので、棟高をあまり高くしなくても、間口はかなり広くできますから、意外と大きな施設もできています(写真F)。もっとも、この方式の宿命として、必ず単棟式になりますから、本来は大規模経営に適した施設とはいえません。それでも、数十棟もある大規模農場がかなりあります。もちろん、現在では、欧米や日本と同じような連棟式温室もたくさんあります。


G雲南省付近に見られる丸タケを用いた竹造パイプウスの集団。
 ★さて、中国は国が広いので、地域によってハウスの構造はかなり異なります。中国最大の切り花産地である雲南省は、ラオスやベトナムと接する地域で、その省都昆明は海抜1800mほどある亜熱帯高冷地気候です。ここには、ビニールの海といえるほどのビニールハウス群がたくさんあります(写真G)。

H竹造パイプハウスの内部(雲南省)

Iシェードハウス(広東省)
このハウスは、丸竹製です。適度の細さの竹が採れる地帯だと思われますが、丸のままの竹を曲げて、パイプハウスを造っています(写真H)。暖房は不要で、台風も来ない地域なのでこのような簡便な施設でよいのでしょう。
 
 ★ちなみに、日本でもビニールが出回り始めた頃はすべて竹のハウスでしたが、この場合は割り竹で作っていました。丸竹のままのハウスは日本では見たことがありません。

 ★広東省や海南省のような熱帯といえる地域では、日よけだけする施設がたくさんあります。寒冷紗だけの被覆で、サイドも開放型ですから、施設はきわめて簡便で、丸太をたて、針金を張っただけの施設です(写真I)。