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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





殺虫効果があるというニームの話



@園芸店で販売されているニームの苗
 ★日本の園芸界ではちょっとしたニームブームがありました。園芸店では写真@のような苗を販売してます。葉や樹皮を煎じた汁が殺虫剤になるという能書きです。環境に優しい農薬が自製できると云うことなのでしょうか。


Aインドではニームの木が無造作に植わっている

B殺虫剤として市販されてる(インド)
 ★でも、日本では露地で越冬させるのが難しいニームを苗から育ててその葉を煎じて殺虫剤として使うというのはいささかナンセンスですね。ユーモアだと思えばよいのでしょうか。

 ★ニームはインド原産の常緑高木で、インドを旅すればよく見かける木です(写真A)。センダン科、センダン属の植物です。学名はMelia azadirachta、英名はbead treeあるいは cape lilac、和名はインドセンダンと云います。確かに、インドでは古くからこの木は殺虫剤や医薬品などいろいろな場面で利用されてきました。

 ★種子から採れる油は、ニーム油(neem oil)あるいはマルゴーサ油(margosa oil)と云い、リューマチなどの外用薬に古くから使われてきました。また殺虫剤としてインドでは市販されています(写真B)。この殺虫剤、商品名はNEEMGOLDと書いてあり、また、有効成分の表示を見ると neemoil(ニームオイル)90.57%をベースにしてazadirachtin(アザディラクチン)0.03%と記載してありました。このアザディラクチンが昆虫の幼虫の脱皮や羽化を妨げる効果があるとされ、いわば有効成分なのです。インドから大量に日本に輸入されるバラの栽培にも実際に使っています。ただし、この薬をまくと虫が弱るので、ニーム農薬を使った後に、化学農薬をまくと効果が大きいとのことでした。ですから、このニーム農薬にだけに頼っているのではなさそうです。


Cニームの枝で歯を磨く(インド)
 ★この木はインドではかなり生活に根ざしたものになっているように思えます。この木を植えておけば虫が来ないとか、あるいは、枝を取って歯を磨くことにも使います(写真C)。

Dニームの花(インド)
虫に有害なくらいですから、人間にも有害かと思いますが、インド人の説明では人間には無害とのことです。でなければ歯磨きには使えませんよね。花を食べるとおいしいとのことでしたが、それほど美味には感じませんでした。

 ★ちなみに、花は白色で小さく、円錐花序をなして房状に咲きます。たくさん咲くのでそれなりに美しいと思います(写真D)。そして、小さな卵形の実を多数着けます。英名の cape lilac (ケープライラック)はこの花をライラックに見たて、bead tree(ビーズツリー)は果実の形態をビーズに見たてて付けられた名前だろうと思えます。

 ★ところで、日本にはニームと同じ仲間に、センダン(栴檀)やトウセンダン(唐栴檀)がありますが、これもニームと同様の薬効があります。センダンの根皮や樹皮は漢方では「苦楝皮」といい、トウセンダンのそれは「川楝子」といい、いずれも駆虫剤として用いられ、また、葉は殺虫剤として利用されてきました。ですから、なにも露地で育たないインドセンダンではなく、日本で育つセンダンを使えばよいわけですね。