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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





花を飲む・・中国の花茶の話






@キク白花

Aキク黄花
 ★中国では「花を飲む」という表現がふさわしいかと思える飲用のドライフラワーが広く販売されています。ドライフラワーに白湯か茶を注いで飲用にするのです。主にお茶屋さんで売られていますが、フリーマーケットやスーパーマーケットなどでも販売されています。これらを「花茶」と称する場合もあるようですが、「茶葉」を含んでいないのですから、「花茶」ではなく、「お茶でないお茶」という意味で「茶外茶」と表現するのが正しいのでしょう。ただし、「茶外茶」にはクコ茶や杜仲茶なども含まれ、必ずしも花だけではありません。

 ★花を飲用する茶外茶の代表格が「菊茶」です(写真@、A)。漢方薬の国だけあって、菊茶は視力の衰え、目の病気に効くとのことで古くから飲用されていたようです。また、重陽の節句には目出度い飲み物として飲用する習慣もあるようです(豆知識「菊茶のこと」参照)。菊茶は浙江省付近が有名で、土産物屋などでよく販売されています。

 ★日本でも結納式や結婚式などの目出度いときに飲む「桜茶」があります。桜茶は、桜の花を塩漬けしたものですが、白湯(さゆ)を注ぐと美しく「花開き」、この桜の花を目出ながら、薄い塩味の微妙な味を楽しみます。「花開き」を目出度いことに結びつけたものでしょう。シュンランの花を塩漬けしたものも「ラン茶」と称し、同様に白湯(さゆ)に浮かべて飲む習慣があります。お茶は「茶々を入れる」、「お茶を濁す」などの言葉があり、これが目出度いときの飲用を避ける理由なのでしょう。


Bバラ(ハマナス)

Cジャスミン
★「茶外茶」に用いる花は、日本では塩漬けにしますが、中国は乾燥品が主体です。この違いは何なのでしょうか。

 ★中国は茶外茶に用いる花の種類がたいへんに豊富です。キクに次いで多いのが「バラ」のように思えます。このバラは本来は「ハマナス」の花が正しいようです(写真B)。これに白湯を注ぐとバラの香りが強烈に出ます。

 ★もちろんジャスミンティで有名な国ですから、花の使用量から云えばマツリカ(ジャスミン)が圧倒的に多いのですが、茶外茶の立場から見ても、ジャスミンの花はたくさん売られています(写真C)。これに白湯ではなくお茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)を注げば、インスタントジャスミンティが出来上がります。

 ★他にカーネーション、百合、センニチコウ、ウメ、モモ、キンモクセイ、キンレンカ、洋菊など極めて多彩な種類が販売されています。このうち、百合と称しているのはユリ科ヘメロカリス属のホンカンゾウでユリではありません。また、洋菊と称しているのはムギワラギク(別名:テイオウカイザイク)です。いずれにしてもこの多彩さは驚きです(写真EF)。

 ★これらの花の原産地を考えてみると、中国原産種は、キク、ハマナス、ウメ、モモ、百合(ホンカンゾウ)、キンモクセイ、などですが、外来植物がかなりあるのです。マツリカはインド、カーネーションは地中海地方、ムギワラギクはオーストラリア、センニチコウは熱帯アメリカ、キンレンカは南米です。インドは地続きの国ですから、マツリカが中国に伝播した歴史はかなり古いと思いますが、アメリカ大陸やオーストラリアの植物などの渡来はそんなに古いとは思えません。当然のことながら、外来植物は中国に渡来してからこの用途を開発したわけですから、外来植物でもまずは食べてやろうとの中国人の意欲のようなものを感じます。このことは、中華料理でも同じようなことが云えるように思います。

 ★以上紹介したものは、単純な花の乾燥品ですが、ジャスミンティーで代表される「花香茶」と称されるお茶はたくさんあり、むしろこちらの方が有名です。花の香りを楽しむお茶です。

D工芸茶
これは、単純に茶葉とジャスミンなどの花を混合したものではなく、茶の製造工程で茶葉とジャスミンの花を積層して、香りの成分を茶葉に吸着させたものです。よく土産などで買ったジャスミン茶の中を調べてみても花が混じってなかったということを聞きますが、高級なジャスミン茶なら当然のことなのです。

 ★その他に、「工芸茶」と称するきわめて特殊な花茶もあります。 湯を注ぐとまず茶葉が開き、そして花も開き、その美しさと香りを楽しみながらお茶を飲もうというわけです(写真D)。中国ならではの遊び心いっぱいのお茶です。(豆知識「工芸茶のこと」参照)。

E花茶セット(日本で写したもの)

★ここでは、お茶を解説する目的ではなく、こんなに多くの種類の花が飲用に使われているのだという紹介をしました。漢方薬、医食同源の国らしい花茶に乾杯です。

豆知識「工芸茶のこと」、豆知識「菊茶のこと」、豆知識「プーアル茶の芸術」参照


F中国で販売されていた茶外茶用の乾燥花のいろいろ

カーネーション

カンゾウ(ユリと称している)

センニチコウ(千日紅)

キンレンカ(金蓮花)

モモ(桃)

バラ(ハマナス)

ウメ(梅)

ムギワラギク(帝王貝細工)