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園芸豆知識・雑学編A植物知識編





パキラの話 Aパキラは果物なのか。種子の話


 ★写真@は台湾南部の雰囲気をよく表しています。右のヤシはビンロウジュ(豆知識「口を真っ赤にして噛むビンロウの話」参照、中央がパキラの大木、手前左が栽培中のパキラです。人の背丈と比べればパキラの大きさが分かると思います。ちなみに、ビンロウジュは高さが20mほどにもなる直幹性のヤシです。そのビンロウジュと比べてもパキラの樹高は見劣りしません。これぐらいの大木になればたくさんの種子が採れます。

 ★パキラの果実は写真Aのような大きさです。手のひらに軽く乗る程度で、長さは7、8cm、大きいものでも10cmほどです。この中に種子が入っているのです(写真B)。

 ★蕾や花もなかなかユニークです。写真Cの細く突き出ているのが蕾です。そしてこの蕾が裂けて花が咲いてきます(写真D)。なかなか幻想的な花です。

 ★果実が熟して自然に裂けたころに種子を取り出します。そして種まきをしますが、種子が古くなると発芽率が急速に落ちます。このため、日本で種子をまいている観葉植物の生産農家は、台湾から新鮮な種子を空輸で取り寄せているのです。

 ★ところで、パキラに関しては、この種子を食用にする果樹だと信じられている傾向があります。観葉植物として出回っているパキラは、学名がパキラ・グラブラ(Pachira glabra)といいますが、これが観葉植物として導入されたときに、学名を間違えて、パキラ・アクアチカ(Pachira aquatica)として紹介されました。このパキラ・アクアティカは確かに種子を食用にする果樹で、英名はガイアナナット、和名はカイエンナットといいます。この方は有用植物ですから文献などに記載が多いので、導入された方が、パキラならこれだと思ったのでしょうか。

 ★このパキラ・アクアティカの名前が日本では急速に広がったものですから、ネットで検索してもこの学名記載が圧倒的に優勢です。そして、これは食用になる植物ですと広く紹介されています。しかし、この果樹のパキラは、観葉植物としては出回っていません。間違いでもコピーで伝播するネット時代の怖さを感じます。もっとも、かなり権威ある文献と思える「園芸植物大辞典」でも、間違って紹介されているほどですから、仕方ないことかもしれません。

 ★かく云う私も以前はこの間違いに気が付かなかったのですから、あまり偉そうなことは云えないのかもしれません。でも、かなり前の話ですが、台湾で果実がなっている姿を見たときに、これは果樹のパキラではないと云うことにすぐに気づきました。果実が、遙かに小さいのです。