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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





茅葺屋根のこと @南アフリカ編



@名古屋東山公園に移築されて展示される白川郷の茅葺住宅
 ★茅葺屋根の建物(写真@)は、昔は普通に見られる日本の農村風景でしたが、この数十年の間に姿を消してしまい、今では世界遺産の白川郷を思い浮かべる程度になってきました。それだけに、今では茅葺き屋根集落の保存のための施策まで行われ、観光地などでは移築して展示する動きさえあります(写真@)(豆知識「茅葺き屋根C日本編」参照)。

 ★日本の茅葺き屋根は精緻な技法で作られており、確かに文化的遺産といえるでしょうが、茅葺き屋根そのものは決して日本独特のものではありません。身近に得られる材料で家造りをする最も原点的な屋根葺き法ですから、素材にはお国柄があるとはいえ、世界中の多くの国で茅葺きの屋根は見られます。特に、貧しい農村地帯などでは茅葺きはかなり残っています(豆知識「茅葺き屋根Aアジア編」参照)。


Aコンドロペタルム・テクトルム(園芸品)
 ★しかし、経済の発達した多くの国では、現在では茅葺屋根は、むしろ、高級な屋根材になっているといえるでしょう。ヨーロッパでは、富裕層のステータスかの如き雰囲気があり、高級住宅や別荘などで、流行しているように見受けます(豆知識「茅葺き屋根Bヨーロッパ編」参照)。

Bコンドロペタルムの自生(南アフリカ・ケープ州)


 ★茅(カヤ)はススキの別名ですが、ヨシ(アシ)、イネ、ムギなどを用いて葺いた屋根も含めて総称として「茅葺屋根」という場合が多いのです(ここでは全て「茅葺き」と称することにします)。ただし、ヨシは「葦葺き」、イネ藁、ムギ藁などは「藁葺き」などと区別する場合もあります。

 ★ところで、コンドロペタルム・テクトルム(Chondropetalum tectorum )という舌をかみそうな名前のイグサのような雰囲気の鉢物をときに園芸店で見かけることがあります。「屋根葺き草」の呼び名でも販売しているようです(写真A)。


C南アフリカで見た植物園の事務所の茅葺屋根(南アフリカ・プレトリア)

Dガーデンセンターで見た茅葺屋根(南アフリカ・ケープ州)
 ★この植物、南アフリカでは極めて普通に自生しており、なかなか姿の良いサンアソウ科の多年草なのです(写真B)。園芸植物として、ヨーロッパでは庭園などに栽植されているのは知っていましたが、日本では全く見かけなかったので、鉢物として登場したときにはいささか驚きました。

 ★この植物、南アフリカの茅葺屋根の材料なのです。さすがに南アフリカでも、ヨーロッパと同様に、現在では庶民のものと言うよりは富裕層のものになっているように思えます。しかし、それでも、この屋根の建物はかなり多く見られます。ガーデンセンターなどの売店やレストランなどには特に愛用されているように思えます(写真CD)。


E美しく切りそろえた軒先(南アフリカ・ケープ州)
 ★屋根葺きの技術はかなりのもののように思え、緻密に葺かれています。屋根の厚さも日本で見られるのと同じぐらいで、軒先は整然と切り込まれており、美しさを感じるものでした(写真E)。南アフリカには優れた技術を持つ職人がまだたくさんいると云うことでしょうか。