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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





茅葺屋根のこと C日本編






@京都府南丹市美山町の茅葺き屋根集落

A京都府南丹市美山町の茅葺き屋根
 ★茅葺き屋根について、南アフリカヨーロッパ諸国アジア諸国のこと紹介してきましたが、日本の美しい茅葺屋根を少し紹介してみよう。

 ★茅葺屋根は建築基準法の規制もあり、現在ではほとんど見かけなくなってきました。しかし、それでも各地に少しは残っており、中でも、世界文化遺産に指定されている「白川(岐阜県)と五箇山(富山県)」、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「美山町(京都府)」、「大内宿(福島県)」などに大きな茅葺集落が残っており、保護されるようになっています。

B五箇山(富山県)の菅沼集落の茅葺屋根

C白川郷(岐阜県)荻町集落の茅葺屋根


 ★京都府の美山町には250棟ほどの茅葺き住宅が残っており、この地域では各所で茅葺屋根の家が見られますが、特に北という集落は「かやぶきの里」と称するほどにかたまっており、38戸も集中しています(写真@A)。

D五箇山(富山県)の菅沼集落の茅葺屋根
入母屋風の見事な茅葺き屋根で、古い日本の山村風景が現在に生きている雰囲気を強く感じます。

 ★白川郷、五箇山の合掌造り集落は特に有名ですが、雪の深い環境と、養蚕業を行うための工夫で考案された家屋の構造であろうと思います。基本的には全て切り妻型の屋根で、急勾配の屋根部分を養蚕に使っていたことが伺えます(写真BCD)。たいへんに大型の住居の見事な茅葺屋根が集中しています。しかし、現在ではすっかり観光地化しています。

 ★農家住宅の茅葺屋根は、江戸時代に作られたものなど築後100年以上のものが多いのですが、最近は村おこしや商業施設などで新築の茅葺きもかなり見られるようになりました。これらは美観を目的にしていますから重厚感のある美しいものが多いように思えます。

E三州足助屋敷

F京都で見た茅葺屋根
写真Eは愛知県豊田市の村おこし施設、三州足助屋敷の茅葺屋根です。この施設内や周辺には新しい茅葺きの建物がいくつかありますがいずれも精緻な葺き方のように思えます。写真Fは京都で見た茅葺きの門ですが、分厚い茅が何とも美しいように思います。


 ★お寺にも茅葺屋根がありますが、これはかなり荘重な感じがするように思えます。写真Gは滋賀県の永源寺ですが、ここは茅ではなく葦葺きです。琵琶湖に近い場所などで、湿地に生える葦(ヨシ・アシ)が利用されるのでしょう。写真Hは佐渡島の妙宣寺の茅葺屋根です。佐渡のお寺にはかなり茅葺きの屋根が多いように思えます。

G永源寺本堂の葦(アシ:ヨシ)葺きの屋根(滋賀)

H佐渡島の妙宣寺の茅葺屋根


★日本の茅葺き屋根はいろり(囲炉裏)による生活習慣と切り離せないものがあります。囲炉裏から出る煙が殺虫、殺菌効果を発揮し、屋根材の腐敗を防ぎ、長年の使用に耐えると云われています。おそらく、暑い夏があっても、この故に屋根材の腐敗が少ないと考えて良いでしょう。また、長年の使用が出来るが故に、精緻な葺き方が発展したと云えるのかもしれません。また、精緻な葺き方をするほど腐敗を少なくする効果も高まったかもしれません。



I石垣島で見たヤシの葉葺きの屋根

J沖縄本島で見た土産物屋の茅葺き屋根
 ★一方、茅葺き屋根Aアジア編で紹介した南アジア地域の茅葺き屋根は、あまり精緻な葺き方をしていません。そして、茅葺きの厚さがたいへんに薄いのが普通です。どうして日本のように美しく葺かないのだろうかと多少の違和感を持っていたのですが、考えてみれば、冬の無い熱帯では屋根の寿命はたいへん短いと見るのが良さそうです。この故に、早期更新を前提にした屋根の葺き方になっていると考えるのがよいのかもしれません。いずれにしても、日本の茅葺き屋根には「美」を感じるものがあります。

 ★しかし、日本でも独特の文化を持つ沖縄県は、亜熱帯気候でもあり、本土で見る茅葺き屋根とは少し異なるようです。ヤシの葉も使うようですし(写真I)、茅葺き屋根の棟の両端や四隅には中国的な曲線状の突起が着いているもの(写真J)など、かなり雰囲気の異なるものも見かけます。

 ★日本の美しい茅葺き屋根の一部を紹介しましたが、この美しさに思いを巡らすと、以下は蛇足かもしれませんが、ついつい、日本の神社仏閣の檜皮葺(ひわだぶき)や柿葺(こけらぶき)の美しさに想いが巡ります。この屋根の美しさは世界に誇るものがあると思いますが、これらもまた、植物を屋根材に使っています。

K薄板片葺きの屋根(インドネシア)

L石置きの板葺き(妻籠宿)


 ★柿葺(こけらぶき)は薄く切った木片で屋根を葺くものです。柿葺といえば、金閣寺や銀閣寺、そして桂離宮などの屋根がそうですが、たいへんに美しい芸術的なものです。日本独特のように思われがちですが、薄板葺きはアジアの国などでもかなり見ることができます。写真Kはインドネシアの花屋街の建物ですが、かなり美しいものでした。しかし、日本の神社仏閣で見られる柿(こけら)葺きに比べるレベルではありません。もっとも、インドネシアの富裕層の住まいにはかなり美しいものがあるように思います。日本でも、庶民の板葺きは、写真Lように石で押さえる粗末な屋根が昔はかなりあったのではないかと思えます。写真Mは柿(こけら)葺きの頂点の一つと言ってもよい金閣寺の屋根です。まさに荘厳そのものです。

 ★檜皮(ひわだ)葺は日本独特のもののようです。これは檜(ヒノキ)の立木から樹皮を剥いで、これを重ねながら葺く屋根で、厚みのある美しい屋根ができあがります。檜皮葺の屋根は清水寺、京都御所、出雲大社など、有名な施設をあげれば際限ありません。写真Nは檜皮葺の春日大社の国宝建造物です。

M金閣寺の柿葺(こけらぶき)


N春日大社の檜皮葺(ひわだぶき)