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園芸豆知識・雑学編@植物と民俗、お国ぶり編





お釈迦様が入滅された聖樹サラノキのこと






@サラノキ

Aサラノキの花

Bサラノキの種子

Cサラノキの鉢植え
★お釈迦様はムユウジュ(無憂樹)の下で生誕され、インドボダイジュ(菩提樹)の下で悟りを得られ、そして、サラノキ(沙羅の木、沙羅双樹)の下で入滅(逝去)されたとのことで、これらが仏教の三聖樹とされています。

 ★このサラノキ(Shorea robusta)はフタバガキ科ショレア属のインド原産の高さ30mにもなる常緑高木です。

 ★サラノキは耐寒性が弱いので、日本では普通は植物園などの温室で見られる程度で、戸外では育ちません(写真@)。日本の寺院ではツバキ科のナツツバキを「沙羅双樹」として植えていますが、これはサラノキとは全くの別種で、日本で考えたサラノキの代用品です。

 ★平家物語の冒頭にある「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。・・・・・」で「沙羅双樹」の名前を知る人も多いかと思いますが、当時本当のサラノキを見ているわけがありませんから、作者はおそらくナツツバキを頭に描いて書いたものであろうと思います。ナツツバキの花はツバキに似た径5cmほどの白花ですが、これは朝に開花し、夕方には落花する一日花で、樹下に大量に花が散っているのを見ると儚い感じがして、盛者必衰の理にはふさわしいように思えます。


 ★サラノキの花は小さく群がって咲きます。日本では春に開花します。といっても、よく知られているのは、草津市立水生植物園みずの森で開花するという情報ぐらいしかありません。ここで、種子まで出来ているかどうかは寡聞にして知りませんが、種子がたいへん面白い形をしているのです。大きな羽が3枚着いた羽根突きの羽のような姿です(写真B)。


Dフタバガキの高木:Dipterocarpus alatus(カンボジア)

E上の植物の種子
 ★この羽は萼片が発達したもので、よく見ると本当は5枚あります。そのうち、3枚が大きく発達しています。この3枚はサラノキを含むショレア属の特徴です。

 ★サラノキを含むフタバガキ科の植物は同じように大きな羽の着いた種子が出来ます。しかし、同じ科でもフタバガキ属の種子は羽2枚が大きく発達し、残りの3枚は目立ちません(写真E)

 ★ところで、フタバガキ科の植物と云っても、ぴんと来ないかもしれませんが、実は、フタバガキ科の用材を総称してラワン材と云っているのです。ベニア板を作る材木です。その意味では我々の生活にたいへん密着した木なのです。

 ★ラワン材を採る代表的なフタバガキは高さが40〜50m、樹径が2mにもなる巨木ですが、そんな巨木は現在では見ることが難しいのかもしれません。写真Dはせいぜい樹径1mほどのものですが、それでも雄大な姿をしています。

 ★ラワン材は、南洋材として重要な用材ですが、各地で伐採が進み、フィリピンではほとんど絶滅状態、さらに多くの国で絶滅の危機に瀕し、輸入は減少しています。この保護が重要な課題になっていますが、日本もこれには大きな責任があると思います。