ホ ー ム園芸百科鉢花図鑑観葉図鑑豆 知 識

園芸豆知識・面白い形態編





蔓性のヤシ・籐(とう)のこと






@籐製の椅子
 ★籐(トウ)家具は現在では生活に根付いたものになっています(写真左)。籐(トウ)は一見したところ竹のように見えますが、実はヤシ科の植物なのです。

Aトウの蔓(育っている状態)(インドネシア)
ヤシと言っても、ココヤシのような直立した幹がそそり立って、茎の先端に葉を叢生するヤシとは全く異なった形状で、蔓(つる)性のヤシなのです。蔓だけ見ていると異様な姿です(写真A)。

 ★籐(トウ)の茎は、繊維がたいへんに長くて強く、しかも加工特性に優れているので、家具や椅子、篭などを作るのに適しているのです(写真@)。


Bトウのつるの刺
 ★実は一口に籐(トウ)といっても、ヤシ科トウ亜科の600種はあると言われる植物を総称して籐(トウ)と言っているのです。これらは、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどの東南アジアやアフリカ、オーストラリアなどの熱帯・亜熱帯などのジャングルに自生しています。そして、茎の太さは、糸状と言ってもよいくらい細いものから、2〜6cmほどの太いものまで、多様な種類があります。茎には強いトゲがぎっしりと着いていますが(写真B)、このトゲがかぎのような役割をしながら、他の植物にからみついて伸びていきます。

Cトウの幼植物(名古屋東山植物園)
そして、蔓の長さは200m以上に伸びるものもあります。葉と葉の間隔は一般的にかなり長く、葉の跡には節ができます。

 ★この茎の姿だけ見ているととても椰子の仲間のように思えませんが、葉の形状や幼木を見るとまさに椰子そのものの姿をしています。若い段階では茎が蔓状になるとは思えないほど、まっすぐに伸びています(写真C)。ただ、密に着く強烈なトゲは、幼木でもたくさん着いています。このトゲの故か、観葉植物としては出回っていないように思います。

 ★トウは熱帯性の植物で日本には自生しませんから、当然のことながら日本では実用上は竹製品が多く使われてきました。しかし、籐が日本にもたらされた歴史はかなり古く、正倉院御物の中に籐の篭があり、江戸時代には籐の敷物まであったようです。とはいえ、江戸以前は貴重品で、庶民の生活には無縁であったと思われます。明治以後には海外との交易も盛んになり、また、籐家具の製造技術なども確立されてきて、籐家具は次第に庶民のものになってきたように思います。