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園芸豆知識・面白い形態編





ゴールデンチャウチャウの名で流通するタカワラビのこと
・・・・・猿か犬か羊か!!






@鉢植えで販売されるタカワラビ
 ★毛むくじゃらで、奇妙な形をした植物の鉢植えがときに流通しています(写真@)。鉢のデザインなどから想像すると中国産か台湾産のようです。黄褐色の柔らかい毛で覆われた固まりは羊か犬か猿の毛のようです。これをよく見ると、様々な動物の顔が連想されます。犬の顔のようでもあり、狸の顔のようでもあり、雄ライオンの顔のようでもあります。想像を巡らせば、際限なくいろいろな動物が思い浮かびます(写真AB)。


Aタカワラビ

Bタカワラビ
 ★この植物は、ワラビ科のタカワラビというシダなのです。そして、この毛むくじゃらのものは、タカワラビの根茎の姿なのです。葉の長さが2mにはなる大型の木性のようなシダで、出葉時にはゼンマイ状に丸まった葉を出します。ワラビよりはるかに大きいのでタカワラビと命名されたのでしょう。一方で、この毛で覆われた根茎の姿から「ヒツジシダ」の別名もあります。

 ★ところで、中国名はこれを金毛狗といいます。狗は中国語で犬のことですから、「金色の毛をした犬」と言うことです。中国ではこの根茎の姿を犬に見立てたのでしょう。英名は、scythian lambですから、「スキタイの子羊」ということです。これは伝説上の「植物羊」ですから、羊を連想したと見ればよいでしょう。

 ★日本での流通上のニックネームでは、ゴールデンモンキーとか、ゴールデンチャウチャウなどと呼ばれています。これを考えた人は、猿か犬を連想したのでしょう。特に、ゴールデンチャウチャウは、本種の中国名が金毛狗(犬)であることから、金毛にはゴールデン、狗(犬)には中国の有名な犬種であるチャウチャウ犬をあてたのでしょう。チャウチャウの名は何となくユーモラスで、この名が広く行きわたっているようです。関西弁では「チャウ」といえば「違う」の意味があって、「違う」を強調したいときに、独特のアクセントで「チャウ・チャウ」と連続して云う習慣があり、関西の漫才などではこれをよく連発します。関西人ならこのような面白味も感じるかもしれません。この命名は案外関西人が考えたのかもしれませんね。


C犬肉の料理店(中国吉林省)
 ★チャウチャウ犬に話が進んだので、ついでに犬についての雑談を加えれば、中国や朝鮮半島では犬を食べる習慣があります。これをあたかも野蛮な行為のように思う人がありますが、とんでもない偏見のようにおもいます。日本人は鯨を食べる野蛮人と云うのと似ているようです。鯨を食べるのは日本の食文化であり、これと同じように、犬を食べるのもこれも朝鮮民族や漢民族の食文化なのです。これを野蛮だと云えば、豚や牛を食べるのは野蛮ではないのかと反論したくなります。中国や朝鮮では、食用に飼育した犬を主に食べるのですから。まさか可愛がっていた犬食べるわけではないでしょう。なぜ、突然に食犬の話題を取り上げたかと云えば、実はこのチャウチャウ犬は、中国では本来、食肉用の犬として改良され、飼育されてきたものだからです。毛むくじゃらの丸まると太った大型のチャウチャウ犬は、愛嬌があり、もちろん一般には愛玩犬として飼われています。ちなみに、中国では、犬肉料理店をときどき見かけます(写真C)。韓国でもかなり犬を食べるようですが、大きな道路に面したところよりも、裏通りのようなところで犬肉料理店を見かけます。


Dマレーシアの道端でもかなり販売している。栽培品とは思えない。

E台湾では園芸店でかなり普通に見かける
 ★さて、本論に戻って、このタカワラビの原産地は、沖縄県からアジアの熱帯、亜熱帯地域に広く分布しています。そして、この根茎を置物としてあるいは鉢植えとして楽しむ習慣がかなりの地域であるようです。

F葉が伸び始めたタカワラビ(名古屋東山植物園)
現在も中国を始め、アジアの各地の露店や園芸店などでこれをよく見かけます(写真DE)。日本でも少しは流通しているほどですから、当然のことながら、乱獲の問題が起こります。それで、現在は、ワシントン条約で、輸出入が規制される品目に指定されています。ワシントン条約とは、絶滅の危機にある動植物の国同士の取引を規制するための国際条約で、日本も加盟しています。

G温室の中で葉が伸びているタカワラビ(名古屋東山植物園)
日本で流通しているものは、当然に栽培品である証明をつけて、輸入が認められたものだろうと思います。

 ★ちなみに、タカワラビは葉の長さだけでも2m以上になる大きなシダですから、たいへんに豪壮な姿をしています。そのような姿は、日本では西表島などの自生地でなければ見ることが出来ません。本土では植物園の温室などに植栽されていますが、豪壮な姿とはとても云えません。