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園芸豆知識・雑学編A植物知識編





干瓢と夕顔と瓢箪のこと






@かんぴょう(干瓢)
 ★巻き寿司に欠かせないカンピョウ(写真@)、瓢箪(ヒョウタン)を干すと書き、干瓢となりますが、まさにその通りなのです。しかし、干瓢は、正しくはユウガオを干したものだと云うべきかもしれません。植物的にはヒョウタンもユウガオも同じ種(同じ植物)ですが、正式な和名はユウガオといいます。



B干瓢を作るユウガオの幼果

C干瓢を作るユウガオの老熟した果実
 ★干瓢は、開花後20日程度のユウガオの幼果を使い、果肉を厚さ2mm程度の帯状に削いで、ひも状とし、これを天日乾燥させたものです。美味であるだけでなく、たいへんに優れた保存食品でもあります。主産地は栃木県、最も消費が多いのは関西です。

 ★一方で、熱帯の国々ではユウガオ(ヒョウタン)の幼果を野菜として油炒めなどにして食するのが極めて一般的なのです。これを見て「何!ヒョウタンを食べる??」と驚く向きがありますが、別に不思議でも何でもなく、日本では干瓢にして食しているわけです。


Aヒョウタン(台湾)
 ★ユウガオを食べると聞けばさほど驚かないのかもしれませんが、ヒョウタンといわれると、観賞物としてのヒョウタン(写真A)を思い浮かべるので、驚くのも無理はありません。現地の日本語通訳などは、ユウガオよりはヒョウタンの方がポピュラーな日本語なので、ついついそのような紹介になってしまうのでしょう。


D果実がたいへんに細長いユウガオの果実(台湾)

E果実がたいへんに細長いユウガオの果実(京都植物園)
 ★実は、日本でも、干瓢としてだけでなく、野菜として食する風習があります。東北地方や北陸地方では冬瓜(トウガン)と同じように、煮物や汁物の実として食します。また、沖縄は熱帯の国々と同様に油炒めなどにして普通に食します。

 ★ユウガオという名前は、夕方開花して朝方まで咲くので、開花時間から付けられた名前ですが、同様の意味で名付けられたアサガオ、ヒルガオ、ヨルガオがヒルガオ科の植物なのに対して、ユウガオはウリ科の植物ですから、アサガオなどとは何の類縁関係もありません。


Fユウガオ(ヒョウタンの棚作りでの野菜用の栽培(中国海南省)
 ★ユウガオの果実は実に多彩な形があります。干瓢を作るのは球形ないし楕円状球形ですが(写真BC)、西洋梨型のもの(写真G)、細長い円筒状のもの(写真FH)、真球形のもの(写真I)などのほか、極端にはヘビウリと見間違うほどに細長く、長さが2m以上になるものまであります(写真DE)。そして、中央部にくびれのある(写真AJ)ものが普通はヒョウタンと称されています。しかし、形はともかく、現在では容器としての実用性が無くなっているのですから、観賞用を目的とし、食用でないものをヒョウタンと見るのが妥当なのかもしれません(写真A)。

G台湾の市場で見たユウガオ(ヒョウタン)の果実

Hミャンマーの市場で見たユウガオ(ヒョウタン)の果実

I真円形のヒョウタン


 ★ユウガオは北アフリカ原産とされ、古くから世界に広く伝わり、日本でも弥生時代の遺跡から出土しているほどです。これが食用であったかどうかよくわかりませんが、果実を酒や水などを入れる容器、あるいはお皿のような器として利用していたのであろうと思います。


Jセンナリビョウタン

K販売されているヒョウタン(台湾)
 ★瓢箪の「瓢」の字は「ひさご」と読みますが、その意味は器のようなことですから、もともと日本では食用よりは器としての用途に意味があったように思えます。

 ★本来、ユウガオの果実は苦みが強く、この苦みが有毒成分で、食用にはならなかったのです。しかし、その後、インドで苦みのない(毒性の少ない)ユウガオが見つけられ、それが食用として世界に広がったとされています。

 ★その故に、弥生時代に日本に渡来したユウガオが現在に継承されているのではなく、17世紀頃に日本に渡来したものが現在のユウガオの原型であろうとされています。

 ★ユウガオはウリ科ユウガオ属の植物で、これは1属1種です。学名はLagenaria siceraria といいます。匍匐性の一年草ですが、蔓の伸長は極めて旺盛で、長さが20m以上になります。花は雌雄異花で、同じ株に雌花と雄花が咲きます。花の色は白色です(写真L)が、花を観賞するための栽培はありません。


Lユウガオの花

Mヨルガオの鉢植え
 ★匍匐性ですから、干瓢(カンピョウ)作りの場合などはスイカのように地面を這わせて栽培します。しかし、ヒョウタンの栽培は普通は棚作りをします(写真JDE)。また、東南アジアなどで見られる野菜用の栽培も普通は棚作りで行います(写真F)。

 ★ユウガオ(ヒョウタン)の果実は始めは細かい毛で覆われていますが、成熟すると毛が無くなり、表面が堅くなります。観賞のヒョウタン作りをする場合は、この成熟した果実を収穫して、先端に穴をあけて、水に10日程つけておきます。そうすれば、中の果肉が腐るので、これを取り出して乾燥させ、表面にニスなどを塗って仕上げをします。果肉を早く腐らせる薬剤も市販されています。

 ★ユウガオはスイカの台木としても使います。この場合は特に食用の品種を使っているとは限りませんから、この台木から、芽を出して着果したユウガオの果実はときに毒性がある場合があります。

 ★ 蛇足ですが、観賞用植物のヨルガオはヒルガオ科で、全く別物だと先に書きましたが、園芸店ではこれをユウガオとして市販している場合がかなり多いように思えます(写真M)。

 ★なお、以上の解説を読んでいただければ、ヒョウタンは本来、有毒植物で、毒性のないものが食用になったことをご理解ただけると思いますが、先日、小学校の理科の授業でヒョウタンを食して、中毒を起こした事例が報道されました。観賞用の代表的な品種の’千成瓢箪’を食べたとのことです。観賞用のひょうたんは食べないようにしていただきたいとあらためてご注意申し上げます(この項2013,11加筆)。