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園芸豆知識・面白い形態編





動く植物の話






@オジギソウ(Mimosa pudica)
★植物は普通は生長して次第に大きくはなりますが、根付いたところから異なる場所に移動するような運動はしません。

Aスティリディウム・ブルビフェルム
Stylidium bulbiferum

Bスティリディウム・ショエノイデス
Stylidium schoenoides(オーストラリア)

Cトリガープランツ(オーストラリア)
しかし、花や葉など器官だけで見るなら、動く植物はかなりあります。たとえば、オジギソウの葉が敏感に動くことは有名です(写真@)

 ★植物は、たとえば花が昼間は開き夜閉じる(昼開性)、その逆に夜に開き昼は閉じる(夜開性)など、光に反応して動くものや、水分、温度などに反応して動くものなどもたくさんありますが、ここでは主に人間や動物、昆虫などが「触れる」という刺激で敏感に動く植物の運動について紹介してみましょう。

 ★オジギソウは小学校などの理科の実験でもよく使いますが、かなり敏感に葉が動きます。オジギソウの葉は羽状複葉ですが、葉軸を中心にして、小葉を上向きにたたみ、、次いで、葉柄から下向きに折れ曲がります。触ったという刺激は、他の葉まで広がり、次々と他の葉も折れたたみ始めますが、これは上の方向だけで、その葉より下には伝わりません。不思議です。オジギソウはマメ科ミモサ属のブラジル原産の植物ですが、世界中の熱帯で雑草化しています。

 ★何故、葉を折りたたむのか、その理由はよくは分かりませんが、おそらく、葉を食する動物に対して、もう葉は無くなったのだと思わせる防御のためであるような気がします。

 ★オジギソウの行動はかなり敏感で、動きも早いのですが、早さに関しては、さらに驚くべき高速行動をする植物があります。トリガ−プランツ(引き金植物)と呼ばれている植物です(写真ABC)。トリガープランツ原生地の状況は熱帯植物館へ→)というのは、オーストラリア原産のスティリディウム科スティリディウム属の植物の総称ですが、この植物は雄しべと雌しべが一緒になった「蕊柱」と云う構造を持っています。これに虫が触れると、一瞬にして虫をたたきつけます。目にもとまらぬ早さですから、まさに、虫は直撃されます。世界最速の早さといえるでしょう。この動作によって、虫には花粉が着き、違う花に行けばまた同じ動作がされますから、他の花への授粉が出来るわけです。まさに、叩くという感じですから、この植物のニックネームは「虫叩き」です。虫をたたきつけた後、蕊柱はゆっくりと元の状態に戻ります。
 

Dハエトリグサ(ハエジゴク)
(Dionaea muscipula)
 ★トリガープランツの花は花弁が5つに裂けていますが、そのうち4つが目立って、それが対をなしてX型をしています。オーストラリアの西部の草原ではかなり普通に見かける草丈の低い植物ですが、この独特の花形の故に簡単に見つけることが出来ます(写真C)。


Eミズオジギソウ
Neptunia oleracea(タイ)

Fミズオジギソウ
Neptunia oleracea(タイ)

Gマイハギ
Codariocalyx motorius
 ★食虫植物として有名なハエトリグサは葉の動きがなかなか豪快です。葉は二枚貝のような形をしており、葉に虫がとまると、中肋を中心に急速に折れ曲がって虫を捕らえます。葉の周縁には大きな睫毛(まつげ)のような柔らかい刺が生えていますが、これは虫の逃亡を防ぐ役割をします。葉には感覚毛と云われる毛が3本生えており、これに触れると葉が動くのです。葉の動きはかなり迅速です。

 ★ハエトリグサは別名をハエジゴクと云います。強烈な名前ですが、ハエを捕まえる強い動きを端的に表現しているようにも思えます。英名はVenus fly trap(ビーナスの蠅取り罠)といいますが、何故ビーナスなのでしょうか。モウセンゴケ科ハエトリグサ属の植物で、原産地は北米です。

 ★タイなどの熱帯アジアでは、オジギソウのような葉をしたミズオジギソウが野菜として販売されています(写真EF)。このミズオジギソウもまた、オジギソウと同じように葉を閉じます。

 ★ミズオジギソウ(熱帯園芸館へは→)は、オジギソウと同じマメ科ですが、属が違いネプツニア属で、熱帯各地の水湿地に自生する水草です。面白いことに、茎はスポンジ状で浮き袋の役割をして水面に浮遊します。この白いスポンジ状の茎も葉と共に野菜として食べますから、露店などでよく売られています(写真F)。水生植物として、日本でも水草として利用します。


Hホウセンカ
(Impatiens balsamina)

Iハナカタバミ(Oxalis bowiei)
マイハギ熱帯植物館へは→)は漢字で書けば「舞萩」で、葉が舞うように動きます(写真G)。葉は3枚の小葉からなり、中央の1枚が大きく、側小葉(大きな葉の付け根にある小さな葉)はかなり小さいのですが、この側小葉が音声や高温の刺激によって舞うように回転運動するのです。
 
 ★マイハギは1999年に開催された昆明世界園芸博で目玉商品的に展示され、可愛い歌姫がマイハギの横で動く姿を見せようとひたむきに歌っていたことで有名になったように思います。種子を土産に持ち帰った日本人もたくさんいたように思います。その後、日本でも鉢花として出荷されるようになりました。さらに数年後、淡路花博でも展示されました。でも、小さな側小葉が動くのですから、それはかなり地味です。最近は園芸商品としてはほとんど見かけなくなりました。音声は高音ほど、温度は35度付近でよく動くようです。マイハギはマメ科マイハギ属の常緑低木で、インド〜フィリピンの原産です。

 ★ホウセンカ(写真H)は古くからの園芸植物ですが、これの果実は成熟すると、少し触れるだけで、強烈に裂開して、種を遠くにとばすことで知られています。このはじけ方はたいへんに強烈で、その動きはたいへんに高速です。

 ★ホウセンカはツリフネソウ科インパチエンス属の植物ですが、この属の植物では、ニューギニアインパチエンスと単にインパチエンスの名で呼ばれるアフリカホウセンカとが広く流通していますが、果実が急激に裂開する点では同じです。

 

Jトレニア・フルニエリ(ハナウリクサ)Torenia fournieri

Kマツバボタン
Portulaca grandiflora)
★カタバミ(写真I)はホウセンカより果実が小さいので多少地味ですが、やはり果実に触れると強く裂開します。カタバミ属は南アフリカや南米原産のものが多いのですが、日本で帰化植物として広く雑草化しています。たいへんに強健な植物であることに加え、種子をまき散らす性質も雑草としての防除を困難にしていると思えます。

 ★少し変わった植物の運動としては、トレニアやマツバボタンがあげられます。トレニア(写真J)は雌しべの先端が二股に開いており、この雌しべに触れるとこの二股はすぐに閉じてしまいます。マツバボタン(写真K)はたくさんの雄しべがありますが、これに少し触れると雄しべは動き始めます。

 ★以上に紹介したものは植物の運動のほんの少しの例にすぎませんが、園芸植物として流通しているものからだけ選んでもこんなに楽しい行動をするものがあるのです。