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園芸豆知識・面白い形態編





幼葉と成葉@ フィカス・プミラ(オオイタビ)






@フィカス・プミラの斑入り品種ホワイトサニー(サニーホワイト)

Aフィカス・プミラの緑葉品種

Dプミラとは思えないほど成葉ばかりになった高さ5mほどの大きな木(豊田市)
 ★プミラの名で知られるフィカス・プミラは小さな葉が可愛いいので、鉢植えや寄せ植えなどに広く使われています。本来は緑色葉ですが(写真A)、さらに小型の葉で白色の斑が入ったホワイトサニー('White Sunny')という品種がよく普及しています(写真@)。蔓性の植物ですからブロック塀やフェンスに絡ませて緑の壁を楽しむこともできます(写真B)。ワイヤーで作ったトピアリーなどに絡ませて育てることも出来ます。


B壁面に這わせたフィカス・プミラの幼葉

Cフィカス・プミラの果実と成葉。葉は巨大になって長さは10cm近い。成葉は付着しないで横向きに伸びる(愛知県豊田市)。

E大きく育った写真Dの基部。幹はかなり太くなっている。下の方では小さな幼葉が幹などに付着している。

Fフィカス・プミラの果実と成葉(沖縄県那覇市)

Gフィカス・プミラの果実と成葉(長崎市)
 ★本種は原産地が日本〜インドに至る広い地域になりますが、日本では太平洋沿岸のやや暖かい地域に自生しています。自生地の植物を見ると園芸店で販売されているような可愛い姿とはほど遠く、葉は大きく、枝は他物には付着しないなど、全く姿が異なり、これがフィカス・プミラとは気が付かないほどです。全くの別種だと思ってしまいます。

 ★その理由は、幼期の葉(幼葉)と、成熟期の葉(成葉)とは、大きさが全く違うからです。幼葉は長さが1〜2cmほどの可愛いものですが、果実を着ける枝が出始めると葉の大きさは長さ5〜10cmほどの大きなものになります。そして、枝は付着する性質が無く、横に広がります。

 ★果実が着き始めるのはかなりの大木ですから、鉢植えでは成葉が現れることはありません。

 ★また地植えしてブロック塀などに這わせても普通は成葉の段階にはなかなか達しません(写真B)。しかし、長年作っていると果実を着ける枝が出始めることがあります。最近、愛知県内の個人住宅の道端で果実が鈴なりに着いているのを見ましたが(写真C)、枝は太く、株張りも高さも数メートルはあると思えるほどでした(写真D。多分、道を歩いている人で、これがフィカス・プミラだと気づく人はほとんどいないことでしょう。

 ★しかし、よく見るとブロック塀に付着しているところや地際などには幼葉がぎっしりと着いていて、やはり、プミラだと云うことが分かります。

 ★ちなみに、フィカス・プミラはクワ科フィクス(イチジク)属の常緑蔓性の低木で、和名はオオイタビ、学名はFicus pumilaといいます。このフィクス属は園芸的に見るととても重要な属で、イチジク、インドゴムノキ、ガジュマル、ベンジャミンゴムなど多くの有用植物があります。しかし、園芸利用しているフィカス・プミラの幼時の小さな葉の姿を見ていると、どうしてこの植物がイチジクなどの仲間なのだろうかと不思議に思えます。

 ★でも、果実を見ると納得できます。イチジクは「無花果」と書きますが、外観的には花が咲かない状態で果実ができます。しかし、壺状の内部では花が咲いており、外からは花は見えないだけなのです。このような花序のことをイチジク状花序あるいは隠頭花序といいます。当然に、このフィカス・プミラも果実を切って内部を見ると小さな花がたくさんあり、イチジクにそっくりです(写真H)。

Hフィカスプミラの果実の内部(左は内部、右は外部)
これを見ればなるほどイチジクの仲間だと云うことが納得できます。

 ★プミラは雌雄異株です。雄株と雌株で果実の形が多少異なる場合が多いようで、雌果は球形に近く、雄果はやや鐘形のように思えます。雌雄だけでなく、多少は系統による形態の違いもあるように思えます(写真FG)。

 ★いずれにしても果実はイチジクに比べると堅く、とても食べようと思いませんが、台湾ではこれを食します。台湾にある種はプミラの変種で、アイギョクシ(愛玉子)と云いますが、果実の形態は写真Fのようです。この雌果に出来る果実から取った種子を水の中で揉むとゼリー状になります。これを食します。

 ★ちなみに、フィカス・プミラの園芸利用は、ヨーロッパから始まったように思います。1970年代ごろ、ヨーロッパの園芸店ではこれがたくさん並んでいましたが、日本では見かけることはありませんでした。日本でも自生する植物なのに不思議に思えますが、幼葉がこんなに美しいと気が付かなかったのか、あるいは蔓性の故に好まなかったのでしょう。日本の園芸店で見かけるようになったのは1980年代半ば頃のように思います。