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園芸豆知識・面白い形態編





葉から芽が出る植物のこと
図 鑑






@セイロンベンケイ
(Kalanchoe pinnatum

Aコダカラベンケイ
(Kalanchoe daigremontiana

D園芸名:錦蝶(きんちょう)(Kalanchoe delagoensis

F園芸名:不死鳥(ふしちょう)
(Kalanchoe hybrid)
 ★「ハカラメ」の園芸名で呼ばれる植物があります。ユニークな名前です。これに漢字を当てはめると「葉から芽」なのです。要するに、「葉から芽が出る」植物ということです。この植物の正式な名前は「セイロンベンケイ」です(写真@)(ちなみに、園芸名は園芸愛好家の間の名称であって、正式な植物名ではありません)。


Bコダカラベンケイの不定芽

Cコダカラベンケイの不定芽、すでに根が出ている

E錦蝶(きんちょう)の不定芽

G不死鳥(ふしちょう)の不定芽
 ★セイロンベンケイはベンケイソウ科カランコエ属の植物ですが、ベンケイソウ科には葉の周縁から芽が出る植物がたくさんあります。特に、このセイロンベンケイは以前はカランコエ属でなく、ブリオフィルム属に分類されていましたが、この属の仲間はほとんどが葉から芽を出します。この属の仲間のコダカラベンケイ(写真A)は生育中にも葉の周縁からどんどん芽を出し、セイロンベンケイ以上に芽の出し方は旺盛です。おそらくセイロンベンケイの方が日本への導入時期が古かったので、「葉から芽」の名前を先取りされてしまったのでしょう。

 ★セイロンベンケイは、生育中にも芽が出ることがありますが、普通は切り取られた後に芽を顕著に出します。しかし、コダカラベンケイは生育中の葉からでも大量に芽が出ます(写真B)。芽からさらに芽が出たりもします。そして、葉の上でその子芽から根が出ることすらあります(写真C)。

 ★茎の節のところなど、本来、芽があるところから出る芽を「定芽」と云い、本来は芽がないところから出る芽を「不定芽」と云いますが、この「葉から芽」は典型的な不定芽です。

 ★葉から不定芽の出る植物をもう少し紹介すると、やはりベンケイソウ科で錦蝶(写真D)があり、これは葉の先端付近にのみ不定芽ができます(写真E)。この植物とコダカラベンケイを交雑させて育成されたのが不死鳥(写真F)です。これは、両者の特徴を表し、不定芽がたくさん出ることでは母親似、葉の形や色合いは父親似です。

 ★これらの植物を温室で栽培すると、たくさんの芽がこぼれ落ちるので、栽培棚の下などでは、雑草化して困るほどになります。上記の植物はいずれも多肉植物として愛好されています。

 ★他に有名な園芸植物としては、マザーファーンがあります。シダの仲間ですが、これもまた葉から不定芽を出します。豪州やニュージランド原産のシダで、切り葉として広く流通しています。


Hマザーファーン
(Asplenium bulbiferum)
 ★葉から不定芽が出る植物はまだまだたくさんあります。たとえば、「葉挿し」は芽のないところから新しい芽が出るのですから、やはり「葉から芽」です。ベゴニア属の多くの種類、たとえば、レックスベゴニア、エラチオールベゴニアなど多くのものが葉挿しできます。セントポーリアやサンセベリア、ベンケイソウ科の多肉植物類、ペペロミアなど、例を挙げればきりがないほど葉挿しできる園芸植物があります。これらは全て葉から出る不定芽を利用しているのです。ただし、葉の周縁からではなく、多くは葉の基部の側から不定芽は発生します。

★「葉から芽」は決して珍しくないわけです。