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フィリピン
(アジアの花事情)
(園芸文化・1998春号掲載の修正版)
マニラ市内の花市場 市場というより問屋街
日本に最も近い熱帯の国、フィリピンも最近は花の消費が活発だ。
 マニラ空港では、出国検査場までの通路の両側に、観葉植物の大鉢が並んでおり、バンドの華やかな歓迎の演奏もあって、熱帯に来たこと感じさせる。確か以前はプラスチックの観葉植物だったように思うが、今は本物だ。ホテルやレストランではアレンジしたスプレーギクが美しく飾られているが、これも以前は造花が多かった。それだけ豊かになったということであろうか。

 キリスト教国らしく人の集まる場所にはマリアの像が目立つ。その前には必ず花が飾られている。道端に花がいっぱい植栽されている小さな広場があれば、まずマリア像があると見てよい。信仰心が厚いのであろう。どの国でも花と宗教は切り離せないし、この花の消費はかなり多いと思える。

 マニラの花市場は、市場というより問屋街の感じだが、なかなかの品質の花が取り引きされている。スプレーギクに上質のものが目立つが、バラも多い。その産地を聞くと、ほとんどがバギオという答えが返ってくる。ミンダナオ産もかなり多い。

 バギオはマニラの北方300km付近の、海抜1,400mある冷涼な高原都市だが、別荘も多く、日本の軽井沢といったところであろうか。ここでは主にスプレーギクやバラが栽培されている。キクは簡便な木製のビニールハウスで、バラは露地で主に作られている。ちなみに、ルソン島は台風の産地でもあり、この付近で発生した台風が北上して日本などに襲ってくる。バギオは当然に常習的に被害を受けるているはずだ。しかし、ここのビニールハウスは構造的にもちゃちで、台風に耐えるとは思えないのだが、倒伏の被害を受けたということを聞かない。よく見ると、ハウスは谷間のやや低い場所に建設されているが、風の弱い場所をよく知っている農家の知恵なのだろうかと思ったりもする。したがって、キクのハウスは散在しているので、一見したところそれほどの産地には見えないが、結構多くの農家があり、かなり良質のものを生産している。バラはうねるように起伏のある丘陵地帯に集団した産地があり、その光景は凄い。産地の中央には日本の援助で建設したとのプレートのついた集荷場が建っている。バラは大きな発泡スチロールの箱に入れてマニラへ運んでいる。
 バギオの市街の道路や広場には花がたくさん栽植されている。気候がよいためか色鮮やかでなかなか美しい。花きの生産組合が積極的に協力して寄贈しているとのことで、ドラセナなどの観葉植物、一年草草花などの他に、ポインセチアの最新品種まで栽植されている。観葉植物や鉢物、花壇苗の生産も多いようで、これらを販売する園芸店が集まった広場が市内の中心部の公園の近くにある。インドネシアの道端にある直売農場とは趣が異なって、比較的整然としている。かなりの規模があることを思えば、鉢物や花壇苗の消費は盛んだと見てよいだろう。
 ミンダナオは赤道に近いだけに、台風の心配はなく、インドネシアと同じような産地の構成をしている。高冷地は広く、スプレーギクやカーネーションの生産が行われている。低地ではアンスリウムやラン類などの切り花生産が行われている。特に高冷地のスプレーギク、低地のアンスリウムの切り花はいずれもハウスで作られ、品質はかなりのものだ。フィリピン第二の都市ダバオは、ランの生産直売をする大規模な農園がいくつかあり、売店ではたくさんの客が出入りしている。南の国の人は、ランの愛好家が多いようだ。
 フィリピンの花き全体の技術水準はまだ高いとは言えない。しかし、フィリピンには経営面積がたいへん大きい企業農家があり、既にかなりの技術水準に達している。この大規模農園が、流通の重要な部分まで取り仕切っているのが現状である(インドネシアでもそうだが)。したがって、彼らがリーダーとなって、全体の後術水準を高めて行くであろうことは容易に想像できることであり、発展の可能性の高い国のように思える。
バギオ市近郊のスプレーギク栽培 ミンダナオ島ダバオ市近郊にも大きなキク農家がある。
バギオ市近郊のバラ産地の共同集荷場 日本の援助で作られた施設。
ミンダナオ島ダバオ市近郊のアンスリウム栽培
バギオ市内の園芸店街
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