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新年特集号激動する世界の花き生産@

(花き園芸新聞・1998年新年特集号1面掲載の記事を若干修正)

新興産地が急成長
   仕掛けた先進地の生産圧迫
世界の花き生産は激烈な国際競争の中にあるが、一方で国際協調の社会であると考えるべきではなかろうか。たしかに生産物の国際的な流通は、激しい競争にさらされているが、一方で種苗生産の国際間の分業化が進められるなど、グローバルな視点から国際間の有機的な結びつきが活発に行われているのも事実のように思える。
 コロンビアやケニアなどで代表される南米、アフリカの熱帯高冷地では、恵まれた気候条件と安価な人件費の特長を活かして、輸出を目的にした花き生産が急速に発展し、これが欧米の花き生産を圧迫していることは広く知られている。
 一方で、オランダやデンマークなどの欧米の花き先進国では、企業的で高度な施設園芸が行われ、生産性と品質を競い、規格のそろった安価な製品を大量生産することによって、あるいは、苗生産を熱帯高冷地で行う国際的分業体制を組み立てることによって、国際競争に対応していることは承知のとおりである。
 基本的にはこのような南北関係が成立しているとはいえ、欧米の花き先進国が、もともとは彼らが仕掛けた新興産地の台頭に、大変に大きな影響を受けているのも事実であり、先進国ではその策が深刻な問題となっている。

日本の自給率は高いが

最近は、世界の主産国が日本をターゲットにした輸出競争を行っているが、わが国の花き自給率はまだかなり高い。過去を振り返ってみると、わが国は、積極的に欧米の先進的技術を導入しながら、長年にわたって自給体制を維持し、いわば独立国的な様相を呈しながら近代的花き園芸を発展させてきた。その結果は、かなり独自な発展形態をとり、特にその品質、規格など、それが正しいかどうかはともかく、他に例を見ないほどにシュビアなものを求める社会を形成してきた。これは、わが国の地理的、社会的条件によるところ大きかったと考えられる。
 米国は南米の、欧州はアフリカの、それぞれの熱帯高冷地で形成された新興産地との、いわば南北間の競争関係がかなり早い時期から始まった。しかし、アジアにおいては、タイのデンファレなど輸出を前提にした産地形成がなかったわけではないが、主要花きについては輸出産地が形成されず、わが国への輸入外圧は、もっぱら欧米先進国からという東西の関係から始まってきた。アジアにも熱帯高冷地があり、そして日本という大きなマーケットがありながら、大産地が形成されなかったのは、おそらくわが国の厳しい品質規格に耐え得る産物を生産する技術の普及が伴わなかったことによるのであろう。
 しかし、現在は地球を駆けめぐる時代でもあり、コロンビア産のカーネーション、インドのバラなどを始め、世界各国からの輸入が急増している。十年前には自給率が約九七%もあったものが、現在は九〇%を割るまでに低下している。これが今後どの程度まで低下するかは、為替レートの問題やわが国生産者の対応などもあり、予測は難しいが競争が激烈化することは間違いないであろう。

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デンマーク 大規模なミニバラの鉢栽培。この農園だけで年間1400万鉢を出荷。ベンチが移動するシステム化された生産方式で、摘心から鉢間隔を広げることまですべて自動化されている。
オランダ 大規模なキク栽培。開花ぞろいの良さが注目される。定植から開花までシステム化
デンマーク  露地を利用した大規模な鉢栽培。
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