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ケニアの花
2007.10.15

バラ生産施設・装備
 生産施設装備に関してはオランダで見るような最先端の近代的装備もあるが、そうでもなくいかにもケニア的という感じのものもある。たとえば、ハウスは鉄材で作った近代的な雰囲気のある農場もあれば、歪んだ丸太を組み立てた雑然とした感じのハウスもある。循環方式の養液栽培を行う近代設備もあれば、掛け流し式土耕もある。出荷調整については別項で述べるが、最新の選花機を入れている農場もあれば、徹底的に人力に頼る農園もある。経営方針にもよるのであろうが、オランダ式の近代装備が全て正しいというわけでも必ずしも無く、ケニアの風土と経済環境に適した方式であればよいわけであって、施設を見ているとその意味で考えさせられることが多い。

ハウス構造
★鉄パイプ造アーチ型のハウスと木造角屋根型のハウスに大別される。外観上から云えば両者の違いはかなり強烈である。前者は形も整然としており近代的雰囲気を感じるが、後者は不整形の丸太を使って組み立てているので、いささか乱雑な感じである。しかし、中で生産されるバラの品質は、木造か鉄骨かで区別されるわけではない。作業性に関して見ればは、柱間隔などの点で鉄骨が勝るような思えるが、オランダのような徹底した労働生産性を求める必要性が現状では少ないことを考えると、どちらが優れているとも言いがたいようにも思える。
★基本的には雨よけが目的のハウスであって、加温、保温を考えたハウスではない。また、強風などの自然災害も少ないようで、強度的に見ればハウス構造は極めて簡便である。フィルムを支える垂木(構造材を兼ねているが)の間隔は数メートル有り、その間、フィルムを支えるものはない。しかも、フィルムを押さえるテープも普通は使われていない。
★木造ハウスは、棟部で屋根に段差を設け、片側の屋根を長くせり出すことによって、この分を換気口とし、常時開放する構造になっている。片側の屋根がせり出しているので、雨が入ることはない。この形態は、世界各地の熱帯で見られる、いわば熱帯型ハウス構造である。換気効率はたいへんにいいように思える。一方、鉄製のハウスは、この木造熱帯型ハウスと同様の考え方を取り入れたものもかなり見られるが、温帯地域と同じように棟部に蝶番がある天窓を設置して、自動開閉しているものもある。冷涼な地域なので、どちらの換気方式でも問題がないのかもしれない。




鉄パイプ造アーチ型ハウスは筋交いなどの補強が少ない簡便な構造である。柱間にはフィルムを支える垂木の部分はなく、フィルムを押さえるテープも使わない。

間口がたいへんに広い大型構造。これだけ大形だと構造的に補強するパイプを使っている。

大形パイプハウス。この構造はあまり見ない。ここでは珍しくフィルムを上から押さえるテープを使っている。

木造ハウス。太い柱とそれをつなぐ棟木、軒桁があり、そして柱の位置に垂木があるだけの簡単な構造である。中柱があるため、柱の数がたいへんに多い。しかも材木は不整形の丸太だけである。この構造だと柱間に2畦ほどしか作れないので作業性は悪いように思える。

木造ハウス。やはり柱のところに垂木があるだけ。ただし中柱を使わないで、張弦梁を使って屋根を補強している。左のハウスより中柱がない分だけすっきりしている。不整形の丸太でうまく作るものだと思う。同じ木造でも、この形式だと柱間の畦数は3〜4になる。

同左。

上の木造ハウスを外から見ると不整形の材を使っているだけに、フィルもの張り方はいささか雑な感じになる。

同左。

鉄骨ハウスの場合は外観は美しい。

木造ハウスの換気口。常時開放されている固定型。片側の屋根を覆うように反対側の屋根を高く伸ばして開口部を作る。世界中の熱帯各地で見られる構造。いわば熱帯型ハウス構造。

鉄骨ハウスで、やはり棟部の常時開放型。左の木造ハウスと同じ考え方で一方の屋根が突き出して雨が入らないようにしている。熱帯型の構造にしたのであろう。この構造はかなり多い。

棟部に蝶番をつけた天窓を開口部にした自動開閉窓。温帯で普通に見られる構造である。換気性能は左の方式の方がよいように思える。



貯水池
 かなりの農園がハウスの屋根から雨水を集めて貯水池に貯めている。川からの取水を減らすなど、環境対策上必要なのであろう。不足分は地下水や川の水なども補給している。経営面積が大きいだけに池もたいへんに大きい。プラスチックシートで防水している。農場内の高い場所に設置して、落差を利用して水圧を得ている場合が多い。






養液管理
 循環式養液栽培を採用している農場も土耕を行っている農場も、養液調整装置や給液用のタンクなどを設置している。循環式養液栽培の場合は養液回収タンクが設置され、さらに希な例ではあるが逆浸透膜ろ過装置まで備えている。いずれにしてもスケールは大きい。




養液調整装置とタンク

各ハウスに配分するヘッダーとバルブ。

逆浸透膜ろ過装置



養液栽培用培地
 隔離床を用いた養液栽培では火山礫の小粒が使われる。この火山礫は産地の近くで採取できるそうである。これを篩い分けして、粒径をそろえる大がかりな装置が設置されている農場があった。下の写真である。栽培時には大粒は床の下部に、小粒は表面に入れる。




火山礫を篩い分けする施設。

篩い分けされた火山礫の山。

篩い分けする前の原料を運搬してきた大形ダンプカー。



地熱利用
 産地付近は火山帯に近く、温泉熱の利用が可能なようである。ただし、ケニアの気候は絶対に暖房を必要とするわけではないので、実際に暖房している農園は少ない。見たのは1ヶ所だけである。ここでは暖房だけでなく、地下熱利用の発電も行っていた。




農園内にある泉源。蒸気が噴き出している。

農園内にある地熱を利用した発電所。

暖房用配管を設置したハウス。



運搬車
 生産物を空港まで運ぶトラックは農場が保有している。当然に空調つきである。農場内での運搬は小型トラック、運搬台車付きのトラクターや耕耘機、ハウス内は手押しのリヤカーなどが使われる。




空港まで輸送するトラック。多くの農場はナイロビ空港まで2時間以上は走らなければならない。

ハウスから収穫物を運び出す耕耘機。

切り花運搬用リヤカー。農場によって形態は若干異なるが、このような運搬車がかなり多い。

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